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大人になってから牛乳でお腹を下す大人の「乳糖不耐症」|突然発症するメカニズムと正しい対策【イシャチョク】

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最終更新日:2026年8月13日

大人になってから牛乳でお腹を下す大人の「乳糖不耐症」|突然発症するメカニズムと正しい対策

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

(画像=stock adobe.com)

「昔は牛乳を飲んでも平気だったのに、大人になってから飲むとお腹がゴロゴロするようになった」 「カフェラテやソフトクリームを食べると、きまって下痢をしてしまう」

このような症状にお悩みではありませんか?それは、乳製品に含まれる糖分をうまく消化できない「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」が原因かもしれません。

この記事では、乳糖不耐症が大人になってから突然発症する理由や、酵素不足によって下痢が引き起こされるメカニズム、そして日常生活での対策について詳しく解説します。

牛乳や乳製品で下痢をするのはなぜ?「乳糖不耐症」とは

(画像=stock adobe.com)

乳糖不耐症とは、牛乳や乳製品に含まれる「乳糖(ラクトース)」という糖分を、小腸で十分に消化・吸収できないことによって起こるさまざまな胃腸症状のことです。

酵素(ラクターゼ)不足のメカニズム

私たちの小腸には、乳糖を分解するための「ラクターゼ」という消化酵素が存在します。乳糖は、このラクターゼによって「ブドウ糖」と「ガラクトース」に分解されることで、初めて体内に吸収されます。

しかし、このラクターゼの分泌量が不足していたり、働きが弱かったりすると、乳糖は未消化のまま大腸へと送られてしまいます。 大腸内に未消化の乳糖が流れ込むと、以下の2つのメカニズムによって不快な症状が引き起こされます。

水分の増加による下痢

 腸内の浸透圧が高まるため、腸管内に水分が過剰に引き込まれ、水っぽい下痢になります。

ガスの発生による腹部膨満感

大腸内の腸内細菌が未消化の乳糖をエサにして発酵し、大量のガス(水素やメタンなど)を発生させます。これがお腹のゴロゴロ感やおならの原因となります。

乳糖不耐症の主な症状・セルフチェック

乳製品を摂取してから数十分〜数時間後に、以下のような症状が現れる場合は、乳糖不耐症の疑いがあります。

  • 水様便、軟便などの下痢
  • お腹がゴロゴロと鳴る
  • お腹の張り(腹部膨満感)
  • おならが増える
  • 腹痛や吐き気

「過敏性腸症候群(IBS)」など他の下痢との大きな違いは、「乳製品を摂取した時にだけ特異的に症状が現れる」という点です。

大人になってから突然「乳糖不耐症」になる原因

(画像=stock adobe.com)

「子どもの頃は給食の牛乳を毎日飲めていたのに、なぜ?」と疑問に思う方も多いでしょう。実は、大人になってから乳糖不耐症を発症することは珍しくありません。その主な原因は以下の通りです。

加齢に伴うラクターゼの減少(後天性乳糖不耐症)

多くの哺乳類は、離乳期を過ぎると母乳を飲む必要がなくなるため、自然とラクターゼの分泌量が減少します。人間も例外ではなく、特に日本人を含むアジア人は遺伝的にラクターゼの活性が低下しやすいとされています。そのため、大人になるにつれて徐々に乳糖を消化できなくなり、ある日を境に症状を自覚するようになるのです。

胃腸炎などの病気による一時的な低下(二次性乳糖不耐症)

感染性胃腸炎(ノロウイルスやロタウイルスなど)や炎症性腸疾患などで腸の粘膜がダメージを受けると、ラクターゼの分泌機能が一時的に低下することがあります。この場合、腸内環境が回復すれば、再び乳糖を消化できるようになることが多いです。

病院での検査と診断

(画像=stock adobe.com)

自分が乳糖不耐症かどうかを正確に知るためには、医療機関(消化器内科)での受診が推奨されます。主な調べ方は以下の通りです。

問診

「何を飲食した後に」「どのような症状が出るか」を詳しく伺います。一定期間、乳製品を抜くことで症状が改善するかどうかも重要な手がかりになります。

水素呼気試験

乳糖を含んだ液を飲み、一定時間ごとに吐き出した息(呼気)に含まれる水素ガスの濃度を測ります。乳糖が消化されずに大腸で発酵すると呼気中の水素が増えるため、これで診断を確定できます。

乳糖不耐症の対策!食べられないもの・食べられるもの

(画像=stock adobe.com)

乳糖不耐症だからといって、必ずしもすべての乳製品を完全に絶つ必要はありません。症状の出やすさには個人差があるため、自分に合った対策を見つけることが大切です。

毎日の生活でできる対策

  • 温めて少しずつ飲む: 冷たい牛乳を一気に飲むと胃腸の動きが活発になり、乳糖が大腸に届きやすくなります。温めて少しずつ飲むことで、小腸で分解される時間を稼ぐことができます。
  • 他の食品と一緒に摂る: 空腹時に乳製品だけを摂るのを避け、食事と一緒に摂ることで胃腸の通過スピードが緩やかになります。
  • 乳糖分解用の薬(サプリメント)を利用する: 医師の処方により、乳製品を摂取する前に「ガランターゼ」などの乳糖分解酵素薬を服用することで、症状を予防できます。

乳糖不耐症でも「ヨーグルト」や「チーズ」は食べられる?

乳製品の中でも、食品によって乳糖の含有量は異なります。

  • △ 注意が必要なもの: 牛乳、練乳、生クリーム、ソフトクリームなど(乳糖が多く含まれます)
  • 〇 比較的食べやすいもの: ヨーグルト、チーズ(プロセスチーズ、チェダーなど)

ヨーグルトは製造過程で乳酸菌が乳糖の20〜30%を分解しており、チーズも発酵・熟成の過程で乳糖の大部分が減少しています。そのため、「牛乳はダメだけどヨーグルトなら大丈夫」という方は少なからず居ます。ご自身のお腹の調子を見ながら、無理のない範囲で取り入れてみてください。

「ただの乳糖不耐症」と自己判断するのは危険?似た症状に潜む病気

(画像=stock adobe.com)

牛乳でお腹を下すからといって、「自分は乳糖不耐症だから仕方ない」と自己判断して放置するのは、実はリスクが伴います。なぜなら、慢性的な下痢やお腹の不調の裏には、治療が必要な別の消化器疾患が隠れている可能性があるからです。

乳糖不耐症とよく似た症状を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。

  • 過敏性腸症候群(IBS): ストレスなどが原因で腸の働きが乱れ、慢性的な下痢や便秘を繰り返します。乳糖不耐症と合併しているケースも少なくありません。
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病): 腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる指定難病です。長引く下痢や腹痛のほか、血便や体重減少が見られることもあります。
  • 牛乳アレルギー: 乳糖(糖分)ではなく、牛乳の「タンパク質」に対する免疫の過剰反応です。下痢だけでなく、蕁麻疹や呼吸器症状(息苦しさ)などを伴うことがあり、適切な対処が必要です。
  • 大腸がん等の深刻な疾患: 「最近お腹の調子が悪い」という症状から、ポリープや腫瘍が見つかるケースもあります。

「乳製品を控えても下痢が続く」「便に血が混じる」「体重が減ってきた」といった場合は、決して自己判断せず、早めに消化器内科を受診して原因を特定することが重要です。

また、本当に乳糖不耐症であった場合でも、医師の診断を受けることで、症状を抑えるお薬(乳糖分解酵素薬など)の処方や、より具体的な食事指導を受けることができます。「体質だから」と諦めず、まずは一度、専門医にご自身の症状を相談してみてください。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。