最終更新日:2023年10月31日
胃が痛いのは病気?みぞおちが痛いのは胃が痛いから?考えられる原因や病気、治療法を解説

こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田 雄介

胸とお腹の中間部、みぞおちと呼ばれる部分に痛みを感じたとき「胃が痛い」と表現します。実際に痛みがなくても、緊張が高まる場面では比喩として「胃が痛い」を使うほど、胃痛はごくありふれた症状です。よくある痛みだからこそ軽視しがちな胃の痛みについて、一般的な原因や、胃痛を起こす疾患、その治療法などを知っておきましょう。
胃痛が起きる原因

胃やみぞおちに痛みを感じる原因は多岐にわたります。そのため、痛み方も痛みの程度も様々です
胃酸によるもの
胃酸はその名の通り酸性の液体で、食べ物を消化するだけでなく細菌を死滅させることもできます。
その力はかなり強力で、鉄の塊に胃酸をかけると鉄が溶けていくほどの酸性を帯びています。
ではなぜ人間の胃は溶けず、食べ物だけが消化されていくのでしょうか。
その理由は「胃粘液」にあります。胃粘液が胃の中をコーティングし、強力な酸から胃を守っているのです。
しかし胃酸の量が増えすぎると胃粘膜が対応しきれなくなり、胃を傷つけてしまうことがあります。その結果起こるのが胃痛です。
胃酸を増やす要因としては食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレスによる自律神経の乱れが挙げられます。
胃が「キリキリ」と痛むのが特徴です。
胃腸機能低下によるもの
胃の蠕動の異常により、みぞおちが痛んだり、胃もたれが起きたりすることがあります。
これらの症状を認めても、内視鏡検査では全く異常を認めないことも多く、機能性疾患胃腸(機能性ディスペプシア)と呼ばれ、ストレスなどが原因の一因となるといわれています。
日常生活でよくある原因

胃痛の原因として、また胃部疾患の原因として考えられているのが生活習慣の乱れです。
また、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌が胃部疾患を引き起こす可能性も考えられます。
食生活
暴飲暴食やアルコールの飲み過ぎ、胃を刺激する香辛料や脂分の摂りすぎといった食生活を続けると胃酸過多の状態になります。
その結果、胃やみぞおちに痛みが現れます。
ストレス
自律神経は体の様々な臓器の働きを制御しており、胃や十二指腸も例外ではありません。
ストレスによって自律神経のバランスが乱れると胃酸を防御する粘液の分泌が減少し、その結果相対的に胃酸過多となり胃痛が起きます。
ピロリ菌
ピロリ菌は幼児期に多くの方が感染しますが、特に症状が出ないまま経過する方が大半です。
しかしこの菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんのリスクを高めることが知られています。胃の不調を繰り返す方には、ピロリ菌に感染している可能性があります。
ピロリ菌はなぜ胃酸の影響を受けないのでしょうか。
実は、胃酸を中和させるアンモニアを放出し、胃の中で生き延びているのです。
健康診断で胃の精査を行うと、ピロリ菌が検出されることがあります。胃がんなどのリスクを下げるために除菌治療が勧められます。ピロリ菌が検出されたら、早めに医療機関に相談しましょう。
胃が痛い場合に考えられる病気

ストレスや食べ過ぎ・飲み過ぎなど、思い当たることがないものの胃痛を繰り返す場合、何らかの疾患によって痛みが出ている可能性もあります。
膵炎
胃痛は必ずしも胃の病気によるものとは限りません。急性膵炎によっても胃痛が起きます。
膵臓は消化酵素を分泌する臓器です。胃酸と同じく消化酵素も多量に分泌しすぎると膵臓自身を傷つけて炎症を起こします。
急性膵炎の症状は胃から背中にかけての断続的な強い痛みが特徴です。また吐き気や発熱も伴います。
消化酵素による炎症が少しずつ広がっていく慢性膵炎の場合も同じ部位に痛みが出ますが、痛みの程度は強くありません。
胃がん
胃がんも胃痛の原因です。とはいえ、胃がんの初期段階では痛みがほとんど出ません。
症状は胃の痛みや不快感・違和感のほか胸やけや食欲不振などが挙げられます。
また胃の中で出血が起きると便が黒くなり(タール便)、体重減少などもみられます。
急性(または慢性)胃炎の原因と治療法

胃痛を起こす病気としては「胃炎」が知られています。
胃炎は急性胃炎・慢性胃炎に分類されます。慢性胃炎は無症状のことも多くみられます。
生活習慣の乱れや細菌の感染が原因

急性胃炎の原因の多くは生活の中にあります。
コーヒーやアルコールの飲み過ぎ、暴飲暴食などの食生活がそのうちの一つです。
食べ物だけでなく喫煙も急性胃炎の原因になります。
またストレスも急性胃炎の代表的な原因に挙げられるでしょう。
慢性胃炎の原因として考えられるのはピロリ菌感染です。
胃に感染したピロリ菌は体にとって異物であり、免疫機能が働いてピロリ菌を取り除こうとします。
このとき白血球がピロリ菌を攻撃し、炎症が起きるのです。
こうした炎症が何度も繰り返されることで慢性胃炎に移行します。
症状としては無症状であることも多いですが、胃痛と胃の不快感、吐き気などが起こる場合があります。
急性(または慢性)胃炎の治療法
急性胃炎の場合は何といっても生活習慣の改善が重要です。
嗜好品の摂取量を減らして暴飲暴食を避け、規則正しい生活とストレス解消を心がけましょう。
適量の食事でも脂分が多すぎると胃に負担をかけますので注意してください。
また胃痛を抑え、胃の働きを正常にするためには投薬治療が必要なこともあります。
胃酸過多であれば胃酸を抑える薬や粘膜保護薬、機能低下が疑われる場合は胃の運動機能改善薬が処方されます。
慢性胃炎でピロリ菌感染が確認されたら、除菌治療が必要です。この治療では、プロトンポンプ阻害薬と抗生物質を1週間服用します。
逆流性食道炎の原因と治療法

胃酸は胃の中で分泌されますが、何らかの原因によって胃より上部、食道に流れ込んで炎症を起こすことがあります。
これが逆流性食道炎です。胃やみぞおち、胸のあたりに痛みを引き起こします。
食生活や強い圧力が原因
胃粘膜によって保護されている胃とは異なり、食道は守られていません。
そのため万が一胃酸が逆流しても食道に侵入しないよう、食道の出口を括約筋によって塞ぐシステムが存在します。
しかし食べ過ぎや飲み過ぎ・早食いによって胃が膨れ、食道に向かって圧力がかかると括約筋が負けてしまうのです。
食べ過ぎの状態では当然胃酸過多になっており、逆流する胃酸の量が多くなり炎症が起きやすいといえます。
胃酸の逆流を繰り返すと炎症が潰瘍化する可能性もあるため、早めの治療が必要です。
逆流性食道炎の治療法

胃炎の治療と同様に生活習慣の改善と投薬によって治療を行います。
食事内容はもちろん、食後すぐ横になることや腹部を圧迫する体勢を避けるといった「姿勢」も改善が必要です。
薬物治療としてはまず胃酸の分泌を薬で抑制し、胸焼けや胃痛などのつらい症状を緩和します。
胃・十二指腸潰瘍の原因と治療法

胃潰瘍や十二指腸潰瘍も腹痛を来すことがあります。
典型例では胃潰瘍では食事中や食後、十二指腸潰瘍ではお腹が空いているときに腹痛が起こります。
ピロリ菌の感染や鎮痛剤が原因
健康な胃の中では粘液と胃酸のバランスがうまく取れている状態です。
しかし胃酸が少なすぎると消化不良を起こし、多すぎると胃粘膜を傷つけて炎症を引き起こします。
更にバランスが大きく崩れ、胃酸の影響で粘膜の奥をえぐるようにして組織が破壊された状態が胃潰瘍・十二指腸潰瘍です。
近年はピロリ菌の関与が指摘されており、その他では解熱鎮痛剤の成分も原因の一つといわれています。
胃・十二指腸潰瘍の治療法
食事療法や生活改善で胃への負担を軽減し、薬剤で症状を緩和します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍では出血を起こすこともあるため、黒色便や吐血した場合はすぐに医療機関を受診することが重要です。
柔らかく消化のよい食事を少量ずつ摂り、症状の改善が確認できたら少しずつ普通の食事に戻していきます。
また胃酸を抑える薬と粘膜を保護する薬によって胃痛や胸焼けを緩和させ、つらい症状を取り除くことも大切な治療です。
胃がんが潜んでいる場合も

胃がんの発生とピロリ菌感染は明確に関連しており、ピロリ菌を除去することで胃がんの発生リスクを下げられることが分かっています。
逆にいえばピロリ菌に感染していれば胃がんのリスクがあるのです。
胃痛から胃炎や胃潰瘍を疑って検査を行った際、ピロリ菌感染が確認できたら除菌治療を行いましょう。
今の時点で胃にがん細胞が存在していなくても、将来的にがん化するリスクは誰にでもあります。
そのリスクを少しでも下げるために、ピロリ菌の除去は非常に重要です。
たかが胃痛と思わず異変を感じたら受診を

胃痛は誰にでも起こり得る症状で、「たかが胃痛」と片付けてしまいがちです。
しかし痛みが出るのには必ず何かしらの理由があります。つまり胃が出している「サイン」だと思いましょう。
このサインが翌日消えているようであれば心配いりませんが、長く続く、あるいは繰り返すならしっかりと耳を傾ける必要があります。
また、痛みが強くなくても長く続くと不安になり、不安がストレスの原因になることもあります。
いつもと違う胃の痛みや、長引く胃の痛みを感じたら、病院を受診してください。
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こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田 雄介
おかだ ゆうすけ
≪プロフィール≫
京都出身。金沢大学医学部卒業後、京都第二赤十字病院で研修。
消化器内科を専門とした理由は内視鏡による検査や手術などの技術を磨くことに魅力を感じたため。そのまま同病院に勤務し、消化管腫瘍に対する内視鏡治療を中心に、臨床経験を積んだ。2023年5月、検査や治療に通いやすい消化器内科を作ろうと、3路線が乗り入れる山科駅前に開業した。
≪資格≫
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医、近畿支部評議員
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
≪所属学会≫
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本肝臓学会