最終更新日:2023年10月10日
肝臓が悪いとどんな症状が出る?顔の症状や太る理由について解説

こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田雄介

肝臓の状態が悪くなると、慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行することもあります。そのため「肝臓が悪いとどんな症状が出る?」と気になる人も多いのではないでしょうか。肝臓の不調による症状はわかりにくい点が特徴です。この記事では、肝臓が悪い場合におこる顔の症状や太る理由を解説。肝機能が低下した際に、考えられる病気も説明します。
肝臓が悪いときに出る症状
肝臓が悪いときに出る症状は、次のとおりです。
体がだるい
肝臓が働かないと、エネルギーが作れなくなったり、不要なものがたまったりします。体を動かすことがつらくなり、だるさや疲労を感じることがあります。
足がつりやすい
肝臓の機能が低下すると、アミノ酸の代謝異常が起きて足がつりやすくなります。アミノ酸は肝臓に集められ、たんぱく質に作り替えられます。
そのため肝臓の状態が悪くなり、機能しないとアミノ酸がうまくカルチニンやタウリンに変換されません。カルチニンやタウリンが体内で不足すると、足がつりやすくなるのです。
身体が黄色くなる
肝臓の状態が悪くなると、ビリルビンと呼ばれる胆汁色素が増えて、皮膚が黄色くなることがあります。これを黄疸といいます。眼球が黄色くなるなどの顔の症状が現れる場合もあります。
ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが分解されてできる物質です。肝臓にはビリルビンを排泄する役割があります。肝臓の機能が低下すると、ビリルビンが排泄されずに増えてしまい黄疸が現れるのです。
体がかゆい
肝臓が悪いと強いかゆみを感じることがあります。肝臓の不調が原因でかゆくなるのは、オピオイドと呼ばれる脳に作用する物質のバランスが崩れたことが原因です。
通常のかゆみは皮膚のヒスタミンによって引き起こされるため、皮膚への塗り薬で対処できます。その一方で肝臓が原因の場合は、脳でかゆみを感じているため、ナルフラフィン塩酸塩と呼ばれる飲み薬で治療する場合があります。
口の中でにがみを感じる
肝臓の状態が悪くなると、老廃物が呼気と一緒に排出されます。その結果、にがみを感じて味覚障害を発症することがあります。味覚障害になると、今まで好んで飲んでいたお酒がまずくなり、飲めなくなることもあります。
むくみやすくなる
肝臓は血液中のたんぱく質を作っています。そのため、肝臓の機能が低下すると、血液中のたんぱく質も減少することがあります。
血中のたんぱく質が減少すると、血液の成分が血管外に染み出して、お腹や手足に水分がたまり、むくみにつながります。お腹に水がたまる状態は、腹水とも呼ばれます。
太りやすくなる
肝臓が悪くなると太りやすくなります。肝臓の状態が悪くなると太る理由は、脂肪や血流の代謝が鈍くなり、エネルギーが消費されづらくなるからです。
代謝エネルギーの21%は肝臓によるといわれています。代謝エネルギーの5分の1を担う肝臓が不調になると、その分のエネルギーが消費されずに、太りやすくなるのです。また、むくみやお腹に水がたまる腹水が原因で、太ってみえることもあります。
肝臓の役割

肝臓の役割は次のとおりです。
- 体にとって必要なたんぱく質などをつくる
- 体に必要なエネルギーなどを貯める
- 老廃物を分解したり、解毒したりする
たんぱく質を作る際は、小腸からアミノ酸などの栄養素を吸収して血液により肝臓に運ばれます。肝臓では運ばれてきたアミノ酸から、たんぱく質をはじめとした他の栄養が作られます。
また肝臓でエネルギーが蓄えられるときは、ブドウ糖からグリコ―ゲンと呼ばれる物質に合成されるのです。また肝臓には、アルコールや薬などからの毒素を解毒する役割もあります。肝臓は幅広い機能を備えているため、悪くなると体にもさまざまな症状が現れます。
肝臓が悪い場合に考えられる病気
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、症状が現れにくいのです。しかし放っておくと、肝臓がんや肝硬変、劇症肝炎などの重篤な病気に進行することもあります。
そのため肝臓の不調による症状が疑われる場合は、病院で診てもらった方がよいでしょう。ここでは、肝臓が悪い場合に考えられる病気を紹介します。
急性肝炎
急性肝炎の原因には、ウイルスや薬剤などがあります。急性肝炎は、短期的な肝臓の炎症性疾患です。
発熱や喉の痛みなどの風邪のような症状を引き起こすこともあります。自然治癒することが多いのですが、一部で重症化して劇症肝炎となることもあるため注意が必要です。
劇症肝炎になると、肝臓が壊死して黄疸が進み、出血しやすくなります。脳症により、精神神経症状を呈することもあります。死に至ることもある、怖い病気です。
慢性肝機能障害
慢性肝機能障害になる病気には、以下のものなどがあります。
- B型肝炎
- C型肝炎
- アルコール性肝炎
- 脂肪性肝炎
- 自己免疫性肝炎
慢性肝炎の多くは無症状なのですが、全身のだるさや食欲不振、疲労感に見舞われることがあります。徐々に進行して、肝硬変や肝不全になることもあります。肝臓がんを発症することもあるため、注意が必要です。
不調に気づくチャンスは健康診断。血液検査から分かる肝臓の状態

自覚症状が現れにくく、見過ごされやすい肝臓の不調に気付く方法として、血液検査があります。肝臓が悪いと、血液検査でどのような異常が現れるのかを説明します。次に紹介する項目は、一般的な健康診断の検査項目にも含まれています。
肝酵素の上昇(ALT、AST、ALP、γ-GTPなど)
肝酵素の上昇は、肝細胞の損傷や胆道の問題を示す可能性があります。
ビリルビンの上昇
総ビリルビンや直接ビリルビンが上昇すると、肝臓の機能不全や胆道の閉塞の可能性が考えられます。
アルブミンの低下
アルブミンの低下は、肝臓の合成機能の低下を示すことがあります。
凝固因子の異常
PT(プロトロンビン時間)の延長は、肝臓の合成機能の低下を示す可能性があります。
ただし、血液検査でこれらの値に異常が見つかったとしても、重篤な肝疾患があるとは限りません。血液検査で異常が見つかった場合は、詳しい検査や医師の診断を受けることが大切です。
肝臓が悪い場合は何科を受診?治療法は?

肝臓が悪いかもしれないと感じる場合や、健康診断で異常を指摘された場合には、消化器内科を受診しましょう。脂肪肝が疑われる場合は、医療機関では食事療法による減量が提案されるでしょう。
アルコール性脂肪肝
飲酒が原因のアルコール性脂肪肝の場合は、禁酒して高たんぱく食に切り替えたうえで、野菜を摂取してビタミンを補います。
非アルコール性脂肪肝
アルコールの過度な摂取がないにも関わらず、肝臓に脂肪が蓄積してしまうことがあります。肥満、2型糖尿病、高脂血症、インスリン抵抗性などの代謝異常が主な原因と考えられています。
治療は、基本的には生活習慣の改善が中心となります。健康的な食事、適切な運動、減量などのほか、必要に応じて薬による治療も行います。
ウイルス性の肝炎
ウイルス性の肝炎の場合は、抗ウイルス治療が施されることがあります。肝硬変になると肝がんが発生するため、慢性肝炎から肝硬変へと進行させないことが重要です。
肝臓が悪いかも?と思ったら病院を受診しよう

肝臓は沈黙の臓器といわれているため、症状を感じづらい点が特徴です。肝臓の不調を放っておくと、重症化する場合もあります。たとえば肝炎による不調を放っておくと、肝硬変に進行して肝がんに至るケースもあるため、注意してください。
重症化を防ぐためにも、肝臓の不調による症状を感じたら、まずは病院を受診した方がよいでしょう。病院を受診する際は、消化器内科を受診してください。
この症状を治したい。記事を読んで今すぐ医師の診断を受けたいあなたへ。
イシャチョクのオンライン診療なら、予約なしで今すぐ医師とつながります。「オンライン診療について詳しく知る」ボタンから、オンライン上の仮想待合室に入りましょう。全国の医師、または近くの医師が、すぐにあなたを診察します。
全国のクリニックから検索したいあなたへ。
クリニックを探すクリニック検索
病気・医療情報検索
キーワード検索キーワード検索

こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田雄介
おかだ ゆうすけ
≪プロフィール≫
京都出身。金沢大学医学部卒業後、京都第二赤十字病院で研修。
消化器内科を専門とした理由は内視鏡による検査や手術などの技術を磨くことに魅力を感じたため。そのまま同病院に勤務し、消化管腫瘍に対する内視鏡治療を中心に、臨床経験を積んだ。2023年5月、検査や治療に通いやすい消化器内科を作ろうと、3路線が乗り入れる山科駅前に開業した。
≪資格≫
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医、近畿支部評議員
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
≪所属学会≫
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本肝臓学会