オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2022年2月21日

くっしんぐしょうこうぐんクッシング症候群

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

クッシング症候群は、副腎から分泌されるコルチゾール(ホルモン)の作用が過剰になることにより、さまざまな身体徴候を呈する疾患です。副腎は小さな三角形をした形の臓器で、左右の腎臓の上の後腹膜腔とよばれるところに左右にひとつずつ存在し、体の恒常性(正常な機能)を保つために重要なホルモンを分泌する働きを持つ臓器です。また、コルチゾールは副腎から分泌されるホルモンのひとつであり、人間が生きていくために不可欠な物質です。そんなコルチゾールは副腎から分泌されるホルモンの中で最も重要なホルモンといえます。コルチゾールはあらゆる生体機能をサポートするはたらきを持つため、クッシング症候群のように、コルチゾールの量が過剰になる場合はもちろん、コルチゾールの量が少なすぎても大きな問題となります。

原因

主な原因は副腎皮質腺腫などの腫瘍性疾患です。副腎そのものに腫瘍が発生することによってホルモン産生のバランスが崩れ、コルチゾールが過剰に分泌されるようになります。また、副腎そのものではなく、副腎の働きに影響を与えている下垂体と呼ばれる臓器に腫瘍が発生した場合にもクッシング症候群が発生することがあります。通常、副腎は下垂体からの刺激(司令)によってホルモンの産生を行っており、下垂体がホルモン量のバランスを調節しています。そのため、下垂体に腫瘍などの異常が発生すると、ホルモン調節機能がうまく働かなくなり、副腎がコルチゾールを過剰に分泌するようになります。

症状

クッシング症候群に特徴的な身体徴候として、満月様顔貌、中心性肥満、野牛肩、皮膚菲薄化、腹部赤色皮膚線条、近位筋の筋力低下などの症状が見られます。また、高血圧、耐糖能異常、月経異常、骨粗鬆症、うつ症状などが症状として現れることもあります。コルチゾールの影響によって体幹に過剰な脂肪がつきやすくなるため、肥満傾向が見られ、肥満によってさらなる合併症が出現する可能性もあります。クッシング症候群の特徴として挙げた満月様顔貌は、ムーンフェイスとも呼ばれるように、ホルモンの影響によって丸く大きな満月様の顔になってしまうというものです。

検査・診断

ムーンフェイスや急激な体重増加などの身体所見からホルモン異常を疑うことが可能です。また、血液検査によって血中のコルチゾール値の日内推移を確認したり、他の副腎ホルモンの数値や副腎皮質刺激ホルモンの値などを測定するなどの検査を行います。尿検査によって尿中コルチゾールやその代謝産物の量を測定する検査も有用です。全身臓器の状態を確認するため、CT検査やMRI検査などの画像検査を行います。画像検査によって副腎腫瘍や下垂体腺腫(下垂体の主要)を確認することも重要です。

治療

クッシング症候群の原因のほとんどが下垂体腺腫であるため、手術によって腫瘍を摘出する治療が検討されます。また、腫瘍は再発する場合もあり、再発時には再切除などが行われます。腫瘍が小さすぎて確認できなかったり、患者の全身状態によって手術での治療が行えない場合には、内服薬や注射薬での治療も選択肢となります。副腎に作用して直接にコルチゾール産生を抑える薬を用いる場合もあります。また、下垂体腺腫に対しては、放射線療法が行われる場合もあります。しかし、副作用として正常な下垂体機能が損なわれてしまう可能性もあるため、慎重に治療の適応を判断します。

予防/治療後の注意

クッシング症候群は、適切な治療によって完治が可能な疾患です。一方、放置するとさまざまな合併症(糖尿病、高血圧、骨粗しょう症、脂質異常症など)が引き起こされる場合もあるため、早期発見と早期治療が重要となります。しかし、ムーンフェイスなどの特徴的な身体所見を示さない症例も多く、高血圧や糖尿病、抑うつ症状などの一般的な症状が主体となる場合もあり、クッシング症候群などのホルモンバランスの影響を疑うことが難しいことも少なくありません。また、手術による治療が行われた後、ホルモンのバランスが正常化するには年単位の時間が必要になるため、治療後も慎重に経過観察を行うことが重要です。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

治療に適した診療科目

内科 腎臓内科 内分泌内科 脳・神経内科 脳神経内科 外科 脳神経外科 腫瘍外科

内科、腎臓内科、内分泌内科、脳・神経内科、脳神経内科、外科、脳神経外科、腫瘍外科のおすすめクリニック