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最終更新日:2022年2月28日

くりみあこんごしゅっけつねつクリミアコンゴ出血熱

こちらの記事の監修医師
医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力
山口 潔 

概要

クリミアコンゴ出血熱は、「クリミア・コンゴ出血熱ウイルス」による出血熱を特徴とする感染症です。ウイルスの感染経路として、ヒトはヒツジなどの家畜を解体する作業中に血液に触れたり、ウイルスを有するマダニに咬まれたりした場合に感染すると言われています。 また、感染患者の体液との直接的な接触でも感染することが知られています。ワクチンや発症を予防する薬、特効薬などは存在せず、死亡率が非常に高いウイルス感染症のひとつです。クリミアコンゴ出血熱ウイルスを媒介するマダニは、北緯50度以南のアフリカ、バルカン半島、中東、アジアに広く分布していることが分かっています。

原因

クリミアコンゴ出血熱の原因は、クリミアコンゴ出血熱ウイルスによる感染症です。クリミアコンゴ出血熱ウイルスを持ったマダニがヒトの皮膚を咬むことで、ヒトがウイルスに感染します。クリミア・コンゴ出血熱ウイルスは人だけではなく動物にも感染するため、家畜やペットなどの動物がマダニに咬まれて感染し、感染した動物の体液にふれることでもヒトへの感染が成立します。また、感染者の体液や血液にふれることで、ヒトからヒトへと感染が拡大します。ワクチンなどで予防する方法はなく、物理的にウイルスの侵入を避けることが唯一の予防法です。マダニはアフリカ大陸、東ヨーロッパ、中近東、中央アジアなどに分布していることが知られているため、流行地域では特に野生動物や家畜に近づかないことが大切です。

症状

ウイルスに感染したヒトのうち20%程度がクリミアコンゴ出血熱を発症します。感染者全員が疾患を発症するわけではありません。潜伏期間はウイルス感染から2日から9日です。発症初期には、突然の発熱や激しい頭痛が発生し、筋肉痛、関節痛、腰痛など、全身の痛みや疲労感が出現します。また、発疹、血便、鼻血などの出血症状が出現し、重症化すると全身から様々な程度の出血を来たし、皮膚の点状出血から巨大な出血斑、消化管出血などが発生します。全身の臓器障害などを合併し、重篤な状態となります。有効な治療法はなく、致死率も非常に高い(15%から40%)です。一方、症状の出現後、9日から10日で症状が回復することもあると言われています。

検査・診断

クリミアコンゴ出血熱は一類感染症に定められているため、第一種感染症指定医療機関と呼ばれるより専門的な医療機関での入院が必要となります。一般的な病院では対応できないため、保健所や自治体などのサポートを受けながら検査や治療が行われます。感染が疑われた場合、患者さんの組織や血液などを採取して、ウイルスの存在を確認します。ウイルス抗原を検出する「抗原検査」や、ウイルスの遺伝子を検出する「PCR検査」、また、ウイルスに対する特異抗体が検査される場合もあります。これらの検査を行うためにも専門的な技術や知識が必要となりますので、指定医療機関での検査と治療が必須といえます。

治療

クリミアコンゴ出血熱に対する特効薬のようなものは存在しておらず、ワクチンやその他有効な治療方法も明らかになっていません。適宜補液療法や栄養管理などを行い、必要に応じて輸血をするなど、症状に応じた対処療法が治療の基本となります。抗ウイルス薬であるリバビリンによる治療が試みられていますが、現在のところ効果は定まっていません。

予防/治療後の注意

現状、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスに対するワクチンは存在しないため、感染そのものを予防することはできません。また、万が一発症した場合にも有効な治療方法なく、致死率も非常に高い恐ろしい感染症です。そのため、物理的にウイルスとの接触を防ぐことが何よりも重要となります。流行地域に行く場合は、ダニに咬まれない対策をするのはもちろんのこと、家畜や動物などへの接触にも注意が必要です。厚生労働省も「草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことなど、マダニに咬まれない予防措置を講じる」ことが重要だと注意喚起をしています。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力

山口 潔 

【経歴】
平成11年 浜松医科大学医学部卒業 東京大学医学部附属病院内科研修医
平成12年 自治医科大学附属大宮医療センター 神経内科・総合診療科
平成15年 東京大学医学部附属病院老年病科(もの忘れ外来)
平成19年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了
平成20年 東京大学医学部附属病院地域医療連携部助教 在宅支援外来、緩和ケアチーム所属
平成24年 東京大学医学部附属病院老年病科特任助教 早期・探索臨床試験拠点整備事業
平成25年 ふくろうクリニック等々力院長就任

東京大学医学部附属病院老年病科非常勤講師
日本認知症学会専門医・指導医
日本老年精神医学会専門医・指導医
日本老年医学会老年病専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医
日本緩和医療学会指導者研修会修了

治療に適した診療科目

内科 感染症内科

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