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最終更新日:2021年10月5日

ていかりうむけっしょう低カリウム血症

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

低カリウム血症

まとめ

さまざまな原因により、血液中のカリウム濃度が低値になる状態を低カリウム血症といいます。カリウムは人体に必要なミネラルで、細胞内の浸透圧の調整、筋肉収縮、神経の興奮などに関係します。また、ナトリウムを体外排出する作用があり、塩分の取り過ぎを調整し、血圧を正常に保つ働きがあります。血液中のカリウム不足が起こると、筋肉や神経の働きに異常が起こり、さまざまな症状が現われます。低カリウム血症は、生活習慣病や腎臓病、糖尿病、心臓病、高血圧などにも関連するため、持病がある人が筋肉の脱力感などを感じたときは、早めに医師に相談しましょう。

この病気の原因

低カリウム血症の原因は、食欲不振や偏食によるカリウムの摂取不足、体外へのカリウム排泄の亢進、血液中から細胞内へのカリウムの移動の3つがあります。カリウムが体外に排出される経路は、消化管と腎臓の2つがあります。嘔吐や下痢による消化管からの排出亢進や、下剤の濫用も発症原因となります。腎臓から尿中への排泄では、カリウム排泄を促進するホルモンのアルドステロンの異常が重要です。アルドステロンが異常に増加する原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧症では、低カリウム血症をきたします。また、利尿剤の投与中は、尿中への排泄亢進が起こるため発症原因となります。血液から細胞内にカリウムの移動を起こす一般的な要因はインスリンで、糖尿病治療のためインスリン注射を行うと低カリウム血症が起こることがあります。また、甲状腺機能亢進症でも細胞内へのカリウム移動が起こり、低カリウム血症となることがあります。その他、漢方薬に含まれる甘草成分にはアルドステロン様の作用があり、低カリウム血症を起こしやすいです。

主な症状

カリウム低下が筋肉と神経に影響し、初期の自覚症状として手足の脱力感、筋肉痛、動悸が起こります。下痢など一過性のカリウム低下ではすぐに回復しますが、長く症状が続くときは治療が必要です。症状が進行すると足のまひから歩行困難や起立困難となり、入院が必要な場合もあります。意識消失発作、多尿や排尿困難、便秘、イレウス(腸閉塞)などの合併症を引き起こすこともあります。不整脈の出現もあるため、特に心臓病の持病がある人は注意します。また、糖尿病患者もインスリン投与により低カリウム血症が悪化するため注意します。

検査/診断の方法

血液検査で血清中のカリウム濃度を測定し、3.5mEq/L未満は低カリウム血症の診断になります。症状、発症原因となり得る疾患、薬剤の服用歴、食事内容などを問診し、血液検査にて総合的に診断します。また、尿中のカリウム濃度や排泄量の検査、副腎から分泌されるアルドステロンなどのホルモン検査、心臓への影響をみるため心電図検査などを行い、低カリウム血症の原因と重症度を調べます。高血圧を合併し、血液中のアルドステロンが高値である原発性アルドステロン症が原因で低カリウム血症となることもあります。

主な治療方法

低カリウム血症の発症原因に応じた治療を行うのが基本です。発症原因が他疾患に基づいていれば、その疾患を治療します。特定の薬が原因の場合は、薬の服用の中止のみでも症状が改善することもあります。対症療法では軽度の低カリウム血症の場合は、カリウムを含む内服薬治療、中等度~重症の低カリウム血症の場合は、塩化カリウムの輸液の点滴に治療を行います。原因疾患により対症療法も異なるため、治療後にカリウム高値とならないように調整します。軽症ではサプリメント服用にて改善することもありますが、他疾患や薬剤が原因の場合は注意が必要で、医師の指導のもとでの摂取を推奨します。また、原発性アルドステロン症が発症原因の場合は、副腎摘出術で完治することがあります。

治療後に注意すべき点/予防対策

高血圧予防のため日本人のカリウム摂取の目標量は、1日当たり成人男性3000mg以上、女性2600mg以上とされています。カリウムは藻類、果物、野菜、芋類、肉・魚などに多く含まれており、バランスの良い食事を心がけることが大切です。下痢などで一時的にカリウムが失われ、倦怠感のあるときはサプリメントによる補充療法がありますが、腎臓に持病のある人は、カリウムの摂り過ぎは禁物です。高齢者は腎機能が低下するため、医師からカリウム摂取量の指導を受けている人は制限食を守ってください。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

治療に適した診療科目

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