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最終更新日:2021年10月2日

はいそくせんしょう・はいけっせんそくせんしょう(えこのみーくらすしょうこうぐん)肺塞栓症・肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)

肺塞栓症・肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)

まとめ

肺塞栓症は、心臓から肺に血液を送る働きをする肺動脈が、塞栓子という物質により詰まることで発症する。塞栓子となるさまざまな物質があるが、大半は血栓によるものである。血栓が原因で発症する肺塞栓症を肺血栓塞栓症という。肺血栓塞栓症の原因は、足の静脈にできた深部静脈血栓が肺に運ばれ、肺動脈を詰まらせて発症することが多い。飛行機などで長時間座るなど同じ姿勢を続けると、血流が悪くなり血栓ができやすい。このため、急性肺血栓塞栓症は「エコノミークラス症候群」とも呼ばれる。寝たきりの高齢者にも発症しやすく注意が必要である。

この病気の原因

肺血栓塞栓症の主な原因となる足の静脈にできる深部静脈血栓は、①静脈が傷ついた状態、②静脈の血流の停滞、③血液が固まりやすい体質、という原因により生じる。①は、手術などがきっかけで起こりやすい。②は、長時間同じ姿勢を取り続けたときに起こる。例として飛行機、電車、長距離バスなどに長時間乗り続けた場合に起こりやすい。また、妊娠や婦人科疾患による腹部の静脈圧迫や、寝たきりの状態でも起こりやすい。③は、生まれつきの体質(先天的凝固異常)の場合と、後天的に何らかの原因により体質が変化する(後天的凝固異常)場合がある。このほか、血栓以外の塞栓子により発症する肺塞栓症で、肺動脈を詰まらせる原因には、がんなどの腫瘍、真菌、骨折時に生じる脂肪組織などがある。

主な症状

突然症状が現れることが多く、息切れや呼吸困難、冷や汗、息を吸う時の胸痛などが主な症状である。呼吸困難は発作を繰り返す場合にも見られる。肺動脈に詰まった血栓が大きいと重篤になりやすく、めまいや失神などの意識障害がみられ、心停止することもある。深部静脈血栓の場合は、足のむくみや腫れ、痛みを伴うことがある。特に片方の足のみに症状が現れた場合は、深部静脈血栓症の可能性が高い。血栓が小さいと軽症であったり、自覚症状がほとんどないこともあり、注意が必要である。

検査/診断の方法

問診により肺塞栓症や肺血栓塞栓症を疑う場合、血液中の酸素量(酸素飽和度)や血圧を調べ、動脈血ガス分析、胸部エックス線検査、心電図や心エコー検査を行う。肺塞栓症や肺血栓塞栓症の可能性が高い場合は、迅速に胸部造影CT検査を行い肺動脈の血栓を確認するが、検査で判明しない場合は、肺血流シンチグラムなどの検査を行うことがある。また深部静脈血栓を調べるため、足の静脈血管エコーを行うこともある。迅速な造影CT検査が重要だが、腎障害の患者、ビグアナイド系薬剤を服用中の糖尿病患者、気管支喘息患者にには検査が適さない場合があるため、注意する。

主な治療方法

抗凝固療法や血栓溶解療法などの薬物療法を行う。抗凝固療法では、血液凝固薬や血栓増大の予防薬として、ヘパリン、ワルファリン、直接経口抗凝固薬などを点滴や服用にて投与する。血栓溶解療法では、肺動脈に詰まった血栓を溶かすため、ウロキナーゼなどで治療する。血栓融解薬により症状が悪化することがあるため、患者の状態を十分考慮して治療を行う。また、発症初期に呼吸困難が見られる場合は、酸素吸入を行う。重症時は、手術やカテーテル治療により血栓を取り除く。足に血栓が残り、再発のリスクがある場合は、予防的措置として下大静脈フィルターを腹部静脈に挿入する治療を行うことがある。急性血栓塞栓症は突然発症し、重篤な症状が多いため、早急な治療介入が重要である。

治療後に注意すべき点/予防対策

血栓予防のため、座る時間が長くなる際は、定期的に立ち上がったり、足のマッサージを行い予防する。また、弾性ストッキングを着用し、足に圧をかけることも有効である。脱水状態も発症の要因となるため、水分補給をこまめに行う。ワルファリンなどの抗凝固薬の服用時は、血液凝固作用があるビタミンKが含まれる納豆などの食品の摂取を避ける。

治療に適した診療科目

内科 循環器内科 循環器外科 救急科

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