bool(false) bool(false)
アペール症候群【イシャチョク】

オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2022年6月15日

あぺーるしょうこうぐんアペール症候群

こちらの記事の監修医師
赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック
伊藤 たえ

概要

アペール症候群は、先天的な頭蓋骨や顔面骨の形成異常がおこる疾患です。頭蓋骨の成長が阻害されるため、脳や脳機能の発達が妨げられたり、眼球が突出したり、呼吸が障害されたり、様々な合併症を引き起こす可能性があります。頭蓋骨は7つのピースに分かれており、それぞれが柔軟に組み合わさることで急激な脳の成長に対応しています。しかし、それぞれのピースのつなぎ目である頭蓋縫合が、なんらかの原因によって早期にくっついてしまうことで、頭蓋骨縫合早期癒合症を発症します。アペール症候群はこの頭蓋骨縫合早期癒合症の一種であり、FGFR2遺伝子の異常によって頭蓋骨縫合早期癒合症を発症してしまいます。おおよそ15万人に1人が発症するといわれる希少疾病であり、指定難病にも登録されています。

原因

アペール症候群の原因は遺伝子の突然変異であり、特にFGFR2遺伝子の異常によって頭蓋骨の異常形成が出現すると考えられています。しかし、病態のメカニズムや発症原因の詳細は明らかになっていません。遺伝子の変異は突然引き起こされる場合が多く、リスク因子もほとんど分かっていません。アペール症候群は50%の確率で次世代に遺伝する可能性があります。発生頻度が非常に稀な疾患であり、日本での年間発症数は約8人程度と推定されています。

症状

アペール症候群の患者さんは、頭蓋骨の成長が脳の成長に対応できず、頭(脳を含め)や顔面の成長障害が発生します。成長障害によって様々な症状が引き起こされ、頭蓋内の圧力が高くなる頭蓋内圧亢進症、脳に過剰な脳脊髄液がたまる水頭症などを発症する可能性もあります。頭蓋内圧亢進症によって、頭痛や嘔吐、吐き気などの症状が出現します。また、顔面骨が小さいことで、眼球が目立ったり、眼球が飛び出したり(眼球突出)、受け口になることもあります。場合によっては、気道が塞がれてしまうことで、呼吸がしにくくなったり、ものを飲み込むのが難しくなる可能性もあります。その他にも、噛み合わせが不良になる、手足の指が互いに癒合する(骨性合指症)、肩関節・肘関節形成不全、心血管奇形、口蓋裂、水腎症、停留睾丸、発汗過多、消化器系の奇形など、全身性に症状が出現する場合もあります。また、精神の発達障害や運動機能の発達遅延を認めることもあります。

検査・診断

頭蓋骨や顔面骨部分に症状が認められるため、ほとんどの場合は問診と視診によって頭蓋骨縫合早期癒合症を診断することが可能ですが、 頭蓋や顔面、頚椎の異常などの詳細を診断するために、MRI検査やCT検査を行います。さらに、手足の指が互いに癒合する症状がみられることがあるため、症状が認められる場合には、アペール症候群を疑います。また、頭蓋骨や顔面だけではなく、全身性に奇形や機能異常が発現している可能性もあるため、各臓器に対してより詳細な検査を行います。

治療

アペール症候群だけではなく、頭蓋骨縫合早期癒合症の治療の基本は手術です。頭部の手術を行うことで、頭蓋や顔面骨を広げる治療を行います。一度で骨を大きく広げる手術を行うわけではなく、広げたい骨の部分に延長装置を取り付け、毎日少しずつ骨を伸ばしていく治療(骨延長法)が行われます。その他、出現する症状に対する対症療法や、合併症に対する治療を追加します。呼吸障害や嚥下機能の症状が出現している場合には、呼吸の確保や栄養の確保が優先されることもあります。いずれにせよ、脳の成長に合わせて、出現する症状や機能異常は変化していくため、長期的かつ継続的に治療を行って行く必要があります。

予防/治療後の注意

アペール症候群は遺伝子の突然変異によって発症する希少疾病です。病態のメカニズムなど詳細が分からないことも多く、疾患の発症を未然に防ぐことはできません。しかし、出現する症状に対して適切に対処し、外科的な処置を組み合わせながら機能異常を治療していく必要があります。成人になるまで根気よく治療や処置を継続していくことが大切な疾患です。家族、学校、医療スタッフなどが一丸となってサポートすることが重要です。

こちらの記事の監修医師

赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック

伊藤 たえ

〇病院名 :赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック
〇医師  :伊藤たえ
〇アクセス:港区赤坂5-2-20赤坂パークビル2F
〇診療科 :脳神経外科

《 経歴 》
2004年3月 浜松医科大学医学部卒業
2004年4月 浜松医科大学付属病院初期研修
2006年4月 浜松医科大学脳神経外科入局
2013年7月 河北総合病院 脳神経外科 勤務
2016年9月 山田記念病院 脳神経外科 勤務
2019年4月 菅原脳神経外科クリニック 勤務
2019年10月 医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科
菅原クリニック東京脳ドック 院長

治療に適した診療科目

脳神経外科 形成外科

脳神経外科、形成外科のおすすめクリニック