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最終更新日:2021年10月5日

かかんきしょうこうぐん過換気症候群

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

過換気症候群

まとめ

不安や極度の緊張により何度も息を激しく吸って吐くことで過呼吸状態となり、体内の二酸化炭素が放出され、炭酸ガス濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾き、身体にさまざまな症状が現れる状態が過換気症候群である。神経質な人、不安を感じやすい人、緊張しやすい人に起こりやすい。うつ病、パニック症、全般不安症などの患者では、疾患の治療により、過換気症候群の予防となることがある。一般的に予後は良好で、症状は数時間で収まり回復するが、過去に過換気症候群を発症した者は、緊張や不安の状態をできるだけ避けた方が良い。

この病気の原因

強い不安や緊張、パニック障害の発作などで何度も息を激しく吸って吐く過呼吸状態が続くと、二酸化炭素を必要以上に吐き出し、血液の炭酸ガス濃度が低値となり、呼吸をつかさどる中枢神経が炭酸ガス濃度の低下を抑えるため呼吸を抑制するので、呼吸ができないような息苦しさを感じ、息苦しさから逃れるためさらに激しく呼吸しようとする。過呼吸状態が悪化すると、炭酸ガス濃度が低下して血液がアルカリ性に傾き、血管が収縮し手足のしびれ、筋肉のけいれんや収縮が起こり、症状への不安からさらに過呼吸がひどくなる悪循環に陥ることがある。不安や緊張で発症することが多く、神経質な人や不安を感じやすい人、緊張しやすい人が発症しやすい。

主な症状

呼吸が速くなる、過換気状態、呼吸しづらい、息苦しい、胸痛、めまい、動悸などの自覚症状がみられる。手足や筋肉がしびれてけいれんし、収縮して硬直する場合がある。手がけいれんし、トルーソー徴候と呼ばれる手の平をすぼめて親指が中に入り指がまっすぐ伸びたような状態になることがある。重症時は失神、全身けいれんが起こることがある。症状によっては、「このまま死ぬのではないか」という不安を感じる人もいる。重症を除き一般的に予後は良好で、発症から数時間程度で改善する。

検査/診断の方法

呼吸の速度が速く、何度も息を吸って吐き、息苦しさや呼吸できないという自覚症状があり、手足の筋肉のけいれんや硬直などがある場合は過換気症候群を疑う。問診により呼吸回数、呼吸の浅さ、興奮の程度などを確認し、総合的に診断する、問診では症状出現のきっかけ、過去に同様の状態を経験したかを重視し、原因を調べる。血液検査では血中酸素や二酸化炭素濃度を調べる。必要に応じ胸部のレントゲン検査や心電図検査を行い、心疾患、肺疾患の可能性について確認する。

主な治療方法

不安感から過度の緊張状態になり、息を過剰に吸って吐く過呼吸状態になると、意識的に呼吸を遅くして断続的に呼吸を止め、二酸化炭素量を増やすと症状が改善する。深く息を吸って吐く腹式呼吸も有効である。患者は不安が強くパニック状態のことが多く、意識して呼吸を遅くするのは困難である。まずは患者を落ち着かせ、安心させてからゆっくり呼吸するよう指示して、症状が治まるのを待つ。以前は紙袋を口に当て、一度吐いた息を吸わせて液中の炭酸ガス濃度を上げるペーパーバック法を行っていたが、この方法では炭酸ガス濃度が必要以上に上がったり、酸素不足で低酸素状態になる可能性があるため、現在は推奨されていない。また、不安感が強いときには抗不安薬にて治療することもある。

治療後に注意すべき点/予防対策

過去に過換気症候群を発症した経験がある場合は、日常生活で大きな不安や過度の緊張に陥る状態を極力避ける。興奮により激しく息を吸って吐く過呼吸状態になった場合は落ち着いて意識的に呼吸を遅くし、呼吸を止めて体内の炭酸ガス濃度が上がり落ち着くのを待つ。パニック症、全般不安症、うつ病などの精神疾患がある場合は、疾患の治療を行うと過換気症候群の再発予防となることがある。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓


【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

治療に適した診療科目

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