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最終更新日:2022年7月6日

こうじのうきのうしょうがい高次脳機能障害

こちらの記事の監修医師
赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック
伊藤たえ

高次機能障害

概要

高次脳機能障害とは、病気や事故など何らかの原因によって脳に損傷を受けた際に生じる、言語機能、思考機能、認知機能、記憶、行動、行為、学習機能など、脳機能に出現する機能障害の総称を指します。症例によって症状は大きく異なり、注意力や集中力の低下、記憶の喪失(古い記憶は覚えていることが多い)、記憶の欠損(一部記憶のみが抜け落ちる)、言語障害、性格の変化など、多様な症状が複合的に表面化する可能性もあります。高次脳機能障害によって日常生活や社会的な生活に支障が生じるケースも少なくありません。

原因

高次脳機能障害の原因の大半は脳卒中であるといわれています。脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、モヤモヤ病などの脳血管疾患の総称です。また、頭部への外傷が原因となって高次脳機能障害が出現するケースも1割程度存在するといわれています。交通事故など、強い力が頭部に加わることで脳機能に異常が生じる可能性もあります。また、脳腫瘍、脳炎、ウイルス感染症などの疾患の影響によって脳機能障害が発症するほか、アルコールや薬物の中毒症状として脳機能障害が発症する場合もあります。年齢によっても発症原因は異なり、若年層では頭部外傷が原因の大半を占めている一方、年齢が上がるほど脳血管障害を原因とする高次脳機能障害の割合が増加していきます。

症状

高次脳機能障害では、障害を受ける脳の部位によって発現する症状が異なります。前頭葉の障害によって遂行機能障害(目標を設定し、そのプロセスを計画、効果的に行動していく事が出来なくなる状態)や言語障害(発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズいかず、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況)、側頭葉の障害によって失語症(一旦獲得された言語知識が、言語機能を担う大脳の病変によって後天的に障害された状態)や聴覚障害(音が聞こえない、または聞こえにくい状態)、記憶障害(自分の体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちてしまう状態)、地誌的障害(熟知している場所で道に迷う、新しい道順を覚えられない、熟知した場所の見取り図が描けない、熟知した風景や建物を見ても認知できない状態)などが出現します。後頭葉の障害では視覚障害が生じます。また、頭頂葉に障害を受けることで、空間認識機能(物(立体)がある方向や形状を瞬時に認知出来なくなる状態)の障害、運動機能の失調などの症状を生じる可能性があります。いずれの場合であっても、症状は複合的に出現する可能性があります。また、より軽症な場合であっても、なんとなくいつも不機嫌になる、性格が変わる、ソワソワしてしまう、注意力がなくなる、遅刻を繰り返すようになるなどの症状が出現する可能性もあります。

検査・診断

高次脳機能障害の診断には、頭部CTやMRI、脳波検査などを行います。脳に明らかな器質的な病変(脳血管や脳そのものの異常)が確認されることで診断します。また、それぞれの機能障害に関して症状の確認を行います。脳機能の状態だけではなく、聴力や視力、神経機能や運動機能など、全身の機能障害の有無をチェックしていくことが重要になります。せん妄や認知症、精神疾患などとの鑑別が難しい場合もあります。

治療

症状が落ち着いた慢性期の状態であっても、継続して原疾患の治療やケアを継続する必要があります。その上で、高次脳機能障害の各症状に対するリハビリテーションを開始します。症状によって必要となるリハビリのメニューや期間は異なります。日常生活を行えるようになるための訓練はもちろん、社会的な生活を行うためのグループコミュニケーションなども重要な治療となる場合もあります。日常生活や公共交通機関の利用、集団生活への参加など、社会適応力を高めていくための様々なトレーニングを行います。高次脳機能障害をもつ患者さんに対しては、長期的なリハビリテーションが必要になるのはもちろん、継続的な家族や介護サービスのサポートも非常に重要となります。

予防/治療後の注意

高次脳機能障害の原因となる脳血管疾患は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に伴って発症する場合が多く、逆に言えば、生活習慣病を予防することができれば、脳血管疾患の発症を予防し、高次脳機能障害を発症するリスクを低下させることができるということになります。毎日の食生活や運動習慣を見直し、生活習慣病を改善する(そもそも発症させない)ことを心がけることが重要です。

こちらの記事の監修医師

赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック

伊藤たえ

〇病院名 :赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック
〇医師  :伊藤たえ
〇アクセス:港区赤坂5-2-20赤坂パークビル2F
〇診療科 :脳神経外科

《 経歴 》
2004年3月 浜松医科大学医学部卒業
2004年4月 浜松医科大学付属病院初期研修
2006年4月 浜松医科大学脳神経外科入局
2013年7月 河北総合病院 脳神経外科 勤務
2016年9月 山田記念病院 脳神経外科 勤務
2019年4月 菅原脳神経外科クリニック 勤務
2019年10月 医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科
菅原クリニック東京脳ドック 院長

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