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最終更新日:2022年2月21日

きかんしかくちょうしょう気管支拡張症

こちらの記事の監修医師
日暮里内科・糖尿病内科クリニック
竹村俊輔 院長

概要

気管支拡張症は、何らかの原因で気管支が異常に拡張してしまい、もとに戻らなくなってしまう疾患です。気管支や気道の壁が壊れる、弱くなるなどして、気管支が広がったままの状態になります。気管支拡張の原因には、先天的な要因や幼小児期の肺炎、繰り返す感染症などが知られています。気管支の拡張によって、細菌や真菌などが増殖しやすくなり、炎症をおこし、更に気管支の障害が進行します。この悪循環によって、気管支拡張症はどんどん悪化していきます。主な症状として咳や痰、息切れ、発熱など様々な呼吸器関連疾患を合併します。障害を受けた気管支を完全にもとに戻すことは難しいため、状態を悪化させないための治療が行われます。

原因

気管支拡張症の原因は、感染症、気道閉塞、先天性異常、免疫異常などさまざまです。主として、乳幼児期の呼吸器感染症が与える影響は大きく、その他には異物の混入、有害なガス、粉じんの吸入など、環境要因が引き金となることもあります。肺非結核性抗酸菌症と呼ばれる疾患や、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、関節リウマチやシェーグレン症候群などの既往歴がある人は、気管支拡張症のリスクが高いことが知られています。

症状

慢性の咳、膿性痰が気管支拡張症の特徴です。障害を受けた気管支は感染症をおこしやすく、風邪やウイルス感染症などの頻度が高くなります。また、感染症によって痰の量は増加し、場合によっては血痰や喀血などがみられることもあります。慢性副鼻腔炎を合併していることが多く、肺炎や膿胸、肺膿瘍など、肺の感染症を合併することもあります。呼吸器関連の感染症を繰り返すことで気管支拡張症そのものの病態も悪化していき、病状がさらに進行して肺機能が低下すると、息苦しさ、疲労感、息切れ、体重減少なども出現します。運動時や歩行時に激しい息切れが生じることもあり、次第に体を動かす時間が減っていき、外出などの日常生活にも支障が生じます。免疫力が低下しているため、風邪やウイルスの流行期にはより一層の注意が必要です。

検査・診断

血液検査などの一般的な検査を行う他、胸部エックス線検査やCT検査などの画像診断を行い、気管支の状態(気管支に拡張が見られるかどうか)を検査します。感染が疑われる時には、感染の原因となった病原菌を調べるため、痰の培養検査を行います。アレルギー性の疾患を合併することも多いため、必要に応じてアレルギー検査が行われる他、結核、非結核性抗酸菌症、腫瘍の有無などを確認します。

治療

気管支拡張症の治療の目的は、症状を緩和すること、感染を予防して病状の増悪を防ぐこと、生活の質(QOL)を改善することです。そのために、薬物療法や理学療法(リハビリテーション)を組み合わせた治療を行います。障害を受けた気管支を完全にもとに戻すことは難しいため、現在の感染症を治療すること、感染症が起こらないように予防することなどに治療の重点がおかれます。感染症や増悪を繰り返す場合は、少量のマクロライド系抗菌薬を長期間使用するという、飲み薬による治療を行います。また、咳や痰などの症状によっては、咳止めやたんを出しやすくするための去痰薬などを使用します。息苦しさなどの症状によって、身体活動量が低下してしまわないように、呼吸リハビリテーション(理学療法)を組み合わせます。呼吸法や息切れがしにくい歩行訓練、筋力トレーニングなどを行うことで、感染症の発症を予防しながら、日常生活の質を向上する効果が期待できます。また、気管支拡張が肺の一部のみに限局して存在しており、増悪など強い症状を繰り返す場合には、手術療法の対象になることがあります。手術によって病変を取り除くことで、将来的な増悪リスクを低下させることが可能ですが、手術自体にもリスクが存在するため、総合的に手術の可否を検討します。

予防/治療後の注意

気管支拡張症患者さんは、細菌やウイルスなどへの感染が起こりやすくなります。その感染症がさらに気管支の状態を悪化させ、また感染症を起こすという悪循環に陥ってしまいます。そうならないためにも、積極的な感染予防やワクチンの摂取などが勧められます。特にインフルエンザや風邪が流行しているシーズン中には、健康な人以上に感染対策に気をつけ、手洗いうがいなどをこまめに行うことが大切です。

こちらの記事の監修医師

日暮里内科・糖尿病内科クリニック

竹村俊輔 院長

〇経歴:
2010年 東海大学医学部卒業
2012年 済生会川口総合病院初期研修医修了
2012年 東京女子医科大学糖尿病・代謝内科入局
2019年 東京女子医科大学大学院内科学(第三)卒業
2019年 東京女子医科大学糖尿病・代謝内科助教
2021年 日暮里内科・糖尿病内科クリニック院長 就任
〇資格・所属学会:
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医
日本内科学会内科認定医
日本禁煙学会認定指導者
日本医師会認定産業医
医学博士
〇学会活動・論文:
2017年 東京糖尿病性腎症セミナー 最優秀賞

治療に適した診療科目

内科 呼吸器内科 呼吸器外科

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