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良性発作性頭位めまい症【イシャチョク】

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最終更新日:2022年3月29日

りょうせいほっさせいとういめまいしょう良性発作性頭位めまい症

こちらの記事の監修医師
横浜栄共済病院
森下 大樹

概要

起き上がる、寝返りを打つなど頭の動かす動作で、突然回転性のめまいが起こります。通常1分程度で治まりますが、ときには吐き気や嘔吐を伴うこともあります。三半規官内に入り込んだ耳石が原因のめまい症です。めまいを起こす病気の中で最も多い疾患で、40~50%が本疾患であると言われています。

原因

耳には「音を聴く」ほかに「体のバランスを保つ働き(平衡機能)」があります。耳の奥には、リンパ液で満たされた三半規管と耳石器があり、頭を動かすとリンパ液に流れが生じます。これが信号となって脳に伝わり、脳はバランスを保つように全身に指令を出します。 本疾患は、三半規官内にリンパの流れを乱す「浮遊耳石」が入ることが原因です。これは、耳石器から剥がれ落ちた耳石が三半規官内に入り込んだものです。頭を動かすとその動きによるリンパの流れのほか、浮遊耳石の移動による流れも生じるため、めまいが起こります。また、剥がれた耳石が三半規官内に沈着することもめまいの原因となります。

症状

回転性のめまい、吐き気、嘔吐の症状が現れます。頭を動かすとひどくなり、安静にしていると治まります。本疾患では、難聴はきたしません。

検査・診断

●眼振検査
めまい発作時には、めまいのサインである眼の揺れ(眼振)が見られることが多く、本疾患ではめまい出現から数秒後に、頭の向きによって特定のパターンの眼振が見られます。めまいを起こさないと観察できないため、検査ではわざとめまいを起こすように、様々な姿勢をとってもらい、頭の向きを変えます。眼振を観察しやすくするため、目の前がぼーっとするまたは暗くなる専用の眼鏡(フレンツェル眼鏡)をかけて検査します。
●平衡機能検査
本疾患では、めまいの起きる特定の方向に頭を動かさない限り、平衡機能に異常をきたしません。しかし、他のめまいの病気でないことを確認するためにこの検査を行います。開眼時・閉眼時に30秒ほど立って止まっていられるか、閉眼でその場で50歩ほど足踏みしてふらつきがないかなどの検査を行います。重心動揺計という機器を用いて検査を行う場合もあります。
●脳神経や手足を動かす神経の診察
めまいや嘔吐以外に、脳神経症状や手足の麻痺症状があれば、その神経に異常があるかどうかの診察を追加します。

治療

●運動療法
主な治療として、原因となる耳石を砕いて小さくするためのめまい体操を行います。そのためにわざとめまいが起こる向きへの運動を行いますが、繰り返していくと耳石が小さくなる、または三半規管の外に移動することで、めまいが弱くなります。はじめは吐き気を伴うぐるぐると強いめまいが起こりますが、弱くなるとふわふわとした感じになります。めまいがよくなるのには、平均1ヶ月程度かかると言われています。したがって、根気強くかつ無理のない範囲でめまい体操を続けます。体操の種類はいくつかありますが、一例を以下に示します。
【寝返り運動】
「仰向けに寝た状態で、頭を右に向けて10秒保ち、次は正面に向けて10秒保つ。そして左に向けて10秒保ったら、また正面に向けて10秒保つ」という寝返りの往復運動を1回につき10往復を行います。これを朝起きた直後と夜寝る前の1日2回行います。首の悪い方は、体ごと横に向いてもかまいません。また、医師が耳石を移動させる治療(耳石置換法)を行う場合もあります。自身で行うめまい体操と同様に、施行中は様々な方向に頭を向けてもらうため、めまいを誘発することになります。
●薬物療法
症状の激しい時は、めまいを和らげる薬や吐き気を抑える薬を使います。しかし、薬はあくまで補助的であり、主な治療はめまい体操の運動療法です。発症してすぐは薬で症状を和らげつつ、めまい体操を行います。めまいが弱くなってきたら、その程度に合わせて薬の量を減らします。最終的には、薬を内服しなくてもめまいが起こらないことが目標です。

予防/治療後の注意

本疾患は強いめまいと吐き気を伴うため、恐怖感を覚える方が多いですが、適切な治療によって治る病気です。しかし、約30%の確率で再発すると言われています。浮遊耳石は頭をあまり動かさないと生じやすいことが分かっています。めまい体操は再発防止・予防にも有用なため、めまいが治っても毎日続けるのがよいでしょう。再びめまいが起こっても、吐き気や嘔吐以外の症状がなければ心配ありません。しかし、次の症状がめまい発作の前後・同時に出現した場合は、脳の異常の可能性があるため、医療機関を受診してください。
①物が二重にみえる、かすんで見える
②顔が動かしにくい、ゆがむ感じがする、食べ物が口からこぼれる
③舌がもつれる、呂律が回らない
④しびれがある
⑤手足が動かしにくい、力が入らない
  また、めまいの前後・同時に耳鳴り、難聴、耳閉感が現れた場合は、別の内耳疾患の可能性があるため、耳鼻咽喉科を受診してください。

こちらの記事の監修医師

横浜栄共済病院

森下 大樹

〇診療科 :耳鼻咽頭科

【経歴】
2012年 横浜市立大学医学部卒業
2012年 横浜労災病院初期研修医
2014年 横浜栄共済病院 耳鼻咽喉科
2016年 横浜市立大学附属市民総合医療センター シニアレジデント
2017年 横浜市立大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 指導診療医
2019年 横浜市立大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 助教
2020年 横浜栄共済病院 耳鼻咽喉科

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・補聴器相談医
・補聴器適合判定医師
・身体障害者15条指定医(言語・そしゃく機能障害、音声機能、聴覚・平衡機能障害)
・難病指定医

治療に適した診療科目

内科 神経内科 耳鼻咽喉科

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