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最終更新日:2022年2月28日

さいきんせいせきり細菌性赤痢

こちらの記事の監修医師
医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力
山口 潔

概要

細菌性赤痢は、赤痢菌の経口感染によって発症する急性感染性大腸炎です。感染症法で三類感染症に指定されています。衛生環境の悪い地域で蔓延する感染症であり、日本でも戦後しばらくは10万人を超え、2万人近くもの死者がいたと言われています。しかし、環境の近代化に伴い、1965年半ば頃から感染者数は激減しています。現代でも、衛生環境の整っていない新興国など、世界中で広く報告されている感染症です。潜伏期間を経て、急な発熱や腹痛、激しい下痢などの症状が出現します。また、膿・粘血便の排泄など、細菌性赤痢に特有の症状を呈することもあります。適切な抗菌薬治療を行い、水分補給(脱水予防)や栄養管理を行うことで症状は改善します。

原因

細菌性赤痢の病原体は赤痢菌です。患者や保菌者の糞便、もしくはそれらに汚染された手指、食品、水、ハエなど、様々なものを介して経口的に感染します。きわめて少ない菌量でも発症するのが特徴で、家族内で二次感染をきたすこともあります。また、患者のケアを行う際にも注意が必要であり、十分な知識や経験を持つ医療スタッフの存在が重要となります。日本では珍しいですが、汚染された水道や河川などを介して集団感染することもあり、流行地域へ渡航した際には、ミネラルウォーターを使用するなどの対策が必要です。また、原因菌となる赤痢菌には、A群、B群、C群、D群の4種が存在し、特にA群の病原性が強いことが知られています。

症状

1日から5日間の潜伏期間を経て、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性の激しい下痢などの症状が出現します。発熱は2日間ほど続き、その他にも、腹痛、しぶり腹(お腹が痛くてトイレに行くが、なかなか便が出ない状態)、膿粘血便などの赤痢症状が現れます。特にA群の症状が強く、血便などを合併することもあります。しかし、赤痢菌に対しては抗菌薬が有効であるため、適切な治療によって重要化することは稀です。そのため、近年では比較的軽症例が多く、数回の下痢か軽度の発熱だけで済む症例や、無症状で経過する症例もみられます。

検査・診断

糞便中から赤痢菌を検出することで確定診断となります。細菌性赤痢は感染症法の三類感染症に指定されています。確定患者、疑似症患者、無症状病原体保有者、死亡者は、直ちに最寄りの保健所への届け出が必要になります。また、治療時には赤痢菌の消失についても確認(陰性化の確認)する必要があります。

治療

健康で体力がある人の場合、無治療でも一週間程度で症状は改善します。治療は、成人例ではニューキノロン系の抗菌薬、小児例ではホスホマイシンと呼ばれる抗菌薬を使用するのが一般的です。しかし、薬剤耐性菌などの問題点もあるため、赤痢菌の薬剤感受性を調べるなどの対応も必要になります。また、腹痛や下痢の状態に応じて、整腸剤や適切な水分補給などが効果的です。水分の吸収効率が良い経口補水液などを使用することで、効果的に脱水症状を予防することができます。全身状態が悪く、経口的に水分の摂取が難しい場合には、医療機関で補液などの治療が行われます。いずれにせよ、安静に療養することが重要であり、しっかりと水分補給をしながら症状が緩和するのを待ちましょう

予防/治療後の注意

赤痢菌は少ない菌量でも感染する感染力が強い細菌です。そのため、患者の同居者や患者のケアを行う人が次々に赤痢菌に感染するということもあります。しかし、基本的に赤痢菌は熱に弱いため、感染予防策としては、十分な加熱調理や石けんによる手洗いが効果的です。 また、物品などの消毒には、ほとんどの消毒剤が有効であるため、患者ケア時や流行地域への渡航時には、こまめに手指消毒を行うことで、予防策を講じることが可能です。とはいえ、新興国などの地域に訪れた際には、生もの、生水、氷などは食べない、歯磨きの時にもミネラルウォーターを使うなど、飲食物に対して十分に注意することが大切です。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力

山口 潔

【経歴】
平成11年 浜松医科大学医学部卒業 東京大学医学部附属病院内科研修医
平成12年 自治医科大学附属大宮医療センター 神経内科・総合診療科
平成15年 東京大学医学部附属病院老年病科(もの忘れ外来)
平成19年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了
平成20年 東京大学医学部附属病院地域医療連携部助教 在宅支援外来、緩和ケアチーム所属
平成24年 東京大学医学部附属病院老年病科特任助教 早期・探索臨床試験拠点整備事業
平成25年 ふくろうクリニック等々力院長就任

東京大学医学部附属病院老年病科非常勤講師
日本認知症学会専門医・指導医
日本老年精神医学会専門医・指導医
日本老年医学会老年病専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医
日本緩和医療学会指導者研修会修了

治療に適した診療科目

内科 感染症内科 救急科

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