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最終更新日:2022年2月26日

えきのこっくすしょう(ほうちゅうしょう)エキノコックス症(包虫症)

こちらの記事の監修医師
医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力
山口 潔

概要

概要

原因

エキノコックス症は、エキノコックスと呼ばれる寄生虫による感染性の疾患です。より専門的には、単包条虫と多包条虫と呼ばれる2種類のエキノコックスが存在し、寄生虫の種類によって、単包性エキノコックス症(単包条虫)と多包性エキノコックス症(多包条虫)に分類されます。キツネや犬がエキノコックスとよばれる寄生虫に感染し、感染した動物の糞便中に排泄された虫卵が、経口的に人体に入り込むことで感染します。糞に直接触れることがなくても、糞中に含まれる虫卵が、何らかの形で間接的(手や埃などを介して)に体内に入り込むことでも感染が成立します。日本では、北海道のキタキツネが主な感染源として知られていますが、北海道以外でも、愛知県で捕獲された野犬において、犬のエキノコックス症が報告されています。

症状

エキノコックスの潜伏期間は約10年と非常に長く、初期症状が現れるまでには長い年月を要します。エキノコックス症発症後は、肝臓の腫大、腹痛、貧血、発熱、黄疸や腹水貯留などの肝機能障害が初期症状として発現します。適切な処置をせずに放置すると、状態は次第に悪化し、増殖したエキノコックスによって全身が強く侵害され、最終的には肝不全などで死に至ります。発症前や早期の無症状期でも、スクリーニング検査の超音波、CT、MRIなどの画像検査から発見されることもあり、この間に治療を開始することができれば、症状発現前(発症前)に対処することが可能となります。

検査・診断

エキノコックス症は、感染症法において四類感染症に指定されています。エキノコックス症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所に届け出なければなりません。エキノコックス症診断の流れとしては、患者が肝障害の症状(腹痛や黄疸、発熱など)を訴えることで医療機関を受診する場合がほとんどです。問診や血液検査にて、肝障害の症状や肝機能低下を確認することで、より専門的な検査が行われます。超音波(エコー)やCT、MRIなどの画像検査によって、エキノコックスの感染が疑われます。その後、免疫血清学的検査(ELISA法など)での陽性確認が行われ、エキノコックス症と診断されます。免疫学的な検査のほか、直接生検を行い、肝臓の摘出組織や生検組織から包虫あるいは包虫の一部の検出を確認することでも診断が確定します。北海道などの流行地域で生活している方の中でも、アウトドアやゴルフ、農畜産業などでキツネなどの野生動物との接触の機会が多い方は、定期的な検査が推奨されます。

治療

エキノコックス症発症後の治療としては、外科的切除が唯一の根治的治療法になります。エキノコックスに侵害されている部分(肝臓の一部)を切除することで、エキノコックスによる各種症状や病態の進行を食い止めることが可能です。特に早期発見・診断された時の予後は良好であり、エキノコックスが増殖する前に発見して切除するというのが効果的な治療法となります。エキノコックス症に有効な特効薬や駆虫薬などは存在しないため、肝機能障害に対する対症療法によって、肝機能の補助が行われますが、できる限り早い段階での外科的切除が推奨されます。そのため、エキノコックス症は、治療以上に予防に重点がおかれており、そもそもエキノコックスに感染しないこと、エキノコックスに感染する疑いのある人は定期的な検査を行うこと、などの対策が重要となります。

予防/治療後の注意

特に流行地域である北海道では、感染源となるキツネやイヌ(野犬)などの保虫宿主に接触しないことが重要となります。アウトドアなどで野山に出かけた後は、手をよく洗うなど、手指を介した感染が起こらないように注意する必要があります。直接キツネと接触していない場合でも、キツネの糞便が付着した草木などに触れることで、手にエキノコックスの虫卵が付着します。爪の間などもこまめに手洗いを行うこと、外では手から直接ものを食べないことなどの対策が必要になります。また、農畜産業などでキツネなどの野生生物と接触する機会が多い人は、適期的に肝機能検査を受けるなど、エキノコックスの早期発見に務めることも重要です。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力

山口 潔

《経歴》
東京大学医学部附属病院老年病科非常勤講師
日本認知症学会専門医・指導医
日本老年精神医学会専門医・指導医
日本老年医学会老年病専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医
日本緩和医療学会指導者研修会修了

治療に適した診療科目

内科 感染症内科

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