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最終更新日:2022年7月6日

らっさねつラッサ熱

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

ラッサ熱

概要

ラッサ熱は、西アフリカ(ギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナン、ナイジェリアなど)および中央アフリカ共和国にみられるウイルス性出血熱の一つです。ラッサとは、最初に患者が発生した村の名前を指します。西アフリカでは、年間20~30万人の感染者があり、風土病といえるでしょう。海外への輸出は過去20年間で23例あり、日本へは1987年にアフリカからの帰国者が発症した1例のみです。ラッサ熱はラッサウイルスの感染で起こります。感染しても80%位は発症しませんが、発症すると、高熱から始まり、嘔吐・下痢がみられ、重症化すると吐血・下血して、脳、心臓、胸膜などに波及して、ショックをおこして死亡することが多くあります。診断法は、咽頭ぬぐい液、血液、尿からラッサウイルスを検出することです。治療は、リバビリンという抗ウイルス薬の静注が効果的です。予防策として、ネズミなどのげっ歯類との接触を避けることが大切です。

原因

ラッサ熱は、ラッサウイルスの感染で起こります。ラッサウイルスは、自然界では西アフリカに生息する野ネズミの一種であるヤワゲネズミ(マストミス)に宿るウイルスです。ヤワゲネズミに噛まれたり、ヤワゲネズミの唾液や尿に直接触り、手足の小さな傷から感染します。ヤワゲネズミの唾液や尿が付着した食器や食物などを介して、経口感染することもあります。さらに、患者の血液、体液、排泄物中にウイルスが混じり、ヒトからヒトへ伝播するので、注意が必要です。これにより、家庭内感染や院内感染をおこすことがあります。過去に起こった院内感染の原因として、西アフリカの病院内でガウンやマスク、ゴーグルが足りないことや、注射器が足りず、使い回していたという医療現場の問題がありました。ラッサウイルスの空気感染は見られていません。

症状

ラッサウイルスに感染したヒトのうち、80%位は発症しませんが、残り20%は、ウイルスに感染してから7~18日で発症します。最初に突然の発熱(朝夕に39∼41度)と全身倦怠感がみられ、3∼4日目に関節痛、腰痛、頭痛、咽の痛みが生じるのが特徴です。続いて、心窩部痛、腹痛、嘔吐、下痢を来し、耳が聞こえなくなったり、手足が震えたりすることもあります。重症化すると吐血、下血がみられ、脳、心臓、胸膜などもやられ、ショックをおこし、死亡します。ちゃんと治療しないと、発症者の20%位が重症化して、70∼80%が死亡する大変な病気です。回復しても25%くらいは難聴になります。また、妊婦の重症化がよくみられ、胎内死亡、流早産をおこすのも問題です。

検査・診断

ラッサ熱は、ヤワゲネズミとの接触歴の確認や症状からラッサ熱を疑い、咽頭ぬぐい液、血液、尿からラッサウイルスを検出することで診断します。PCR法や抗体検査することもあります。

治療

ラッサ熱には、リバビリンという抗ウイルス薬の静注が効果的です。リバビリンを発症後6日以内に用いると、死亡する確率が激減し、全体の死亡率を1%程度にできます。しかし、重症化すると15%程度の致死率といわれています。

予防/治療後の注意

予防策としては、流行地でヤワゲネズミとの接触を避けることです。また、院内感染を防ぐために、流行地では医療環境の改善も重要な課題と考えられます。感染予防ワクチンはありません。濃厚接触者の発症予防に、リバビリンの経口投与を行うことがあります。また、ラッサ熱は治療で回復しても、2∼3カ月後再発することがあるので経過観察が必要です。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)

治療に適した診療科目

感染症内科 内科

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