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最終更新日:2021年10月6日

とうにょうびょうせいじんしょう糖尿病性腎症

糖尿病性腎症

まとめ

糖尿病性腎症は、糖尿病を原因として腎機能低下がみられる疾患である。腎臓は血液をろ過して尿をつくる機能により血液中の老廃物が排出され、水分、電解質、pHなどが適正に保たれる。糖尿病で高血糖状態が続くと、腎臓のろ過機能を担う毛細血管が損傷し腎機能が低下する。腎機能が著しく低下し腎不全になると、透析治療が必要なことがある。近年、透析治療開始の最多要因が糖尿病性腎症であり、全体の約40%を占めるとされる。糖尿病性腎症は10年以上かけ徐々に進展するため、早期発見・早期治療が重要である。

この病気の原因

毛細血管が集まる子宮体組織が1つの腎臓に100万個以上存在する。毛細血管の周囲には血液をろ過するフィルターがあり、血液から老廃物などを排出する際、老廃物とともに糖、アミノ酸、水分、電解質なども尿中に排出され、必要なものだけを再吸収するシステムがある。糖尿病による高血糖状態が続くと、糸球体の血管が損傷し、フィルターが粗くなりたんぱく質が漏出する。さらに悪化すると糸球体が破壊され減少し、腎臓のろ過能力が低下し、老廃物が排出できなくなる。血管が狭くなりろ過能力が低下すると、高血圧を合併することもある。糖尿病より先に高血圧を発症することがあり、糖尿病と高血圧を併発すると、さらに腎臓が悪化してしまう。

主な症状

糖尿病性腎症の初期段階は自覚症状がないことが多く、尿に多量のタンパク質が検出され、腎機能低下が進展するとむくみ、息切れ、胸が苦しい、食欲不振、腹部膨満感の症状がみられる。さらに進展して透析治療の開始時期になると、顔色が悪い、激しい疲労感、嘔吐・吐気、筋肉のこわばり、筋肉がつりやすいなどの症状がみられる。自覚症状を感じる段階では進行を遅らせる治療はあっても元の健康状態には戻すことができない。早期発見するためには尿中微量アルブミンの検査を受ける。

検査/診断の方法

糖尿病性腎症の検査には血液検査と尿検査がある。腎機能を示す数値は、血液検査にてクレアチニン濃度から算出するeGFR(推算糸球体ろ過量)である。糖尿病性腎症ではeGFR 30mL/分/1.73㎡未満が腎不全と診断される。診断上尿蛋白の指標が重要であるが、腎症が進行しないと尿蛋白は検出されないため、微量アルブミン尿という蛋白質を測る尿中微量アルブミン検査を行い、アルブミン尿とクレアチニンの比が30mg/gCr以上の場合、早期糖尿病性腎症と診断される。尿中微量アルブミン検査は専門の医療機関で検査可能である。糖尿病発症から何年も測定していない時は、一度検査を受けるようにする。

主な治療方法

腎症の発症の有無にかかわらず、糖尿病の治療は血糖値コントロールが基本となる。合併症予防のためHbAc7.0%未満を目標とし、食事療法、運動療法、薬物治療を行う。早期糖尿病性腎症では厳格な血糖コントロールを行い、食事療法では1日の摂取エネルギー量に加えタンパク質・塩分の摂取量にも注意する。高血圧の合併が多く、血圧コントロールが重要だる。腎機能の影響を考慮しつつ糖尿病治療薬を選択する。蛋白尿がみられる顕性腎症期では蛋白制限や塩分制限を行うが、さらに悪化した腎不全期では透析治療を検討する。近年では血液透析、腹膜透析、在宅血液透析などの選択肢が増えたが、いずれも治療で長時間拘束される点は同じである。透析治療により腎機能をすべて代行することは難しく、合併症の治療も必要となる。悪化を防ぐため早期発見・早期治療が重要となる。

治療後に注意すべき点/予防対策

腎症未発症の時点で、しっかりと血糖コントロールを行うことで発症予防となる。健康診断で糖尿病や糖尿病性腎症が疑われたら、すぐに医療機関を受診し治療を開始する。糖尿病の治療中に糖尿病性腎症を発症した場合は、血糖管理に加えしっかりと血圧管理を行う。糖尿病性腎症が悪化した場合は、腎臓内科にて詳細な検査や診断を受けることが望ましい。腎臓病は手術や専門的治療で対応可能な疾患があり、近年は病診連携も進んでいるため、まずはかかりつけの医師に相談する。

治療に適した診療科目

内科 腎臓内科 糖尿病内科 内分泌内科

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