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最終更新日:2022年3月2日

いつりゅうせいにょうしっきん溢流性尿失禁

こちらの記事の監修医師
医療法人社団 セントメリー 飯田橋中村クリニック
中村 剛 院長

概要

溢流性尿失禁は、自分の意志で排尿するのが難しくなる一方、溜まった尿が少しずつ膀胱からあふれてしまい尿もれが起きる疾患です。そもそも尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられており、溢流性尿失禁は、溜まった尿が溢れて(あふれて)しまって尿もれが起こるということを意味しています。何らかの原因によって意識的に排尿を行うことが難しくなったり、排尿時に膀胱を十分に空にすることができなくなることによって、膀胱内には徐々に尿が蓄積し、最終的には溢れて漏れてしまいます。排尿時に通常より長く時間がかかったり、排尿後にも強い残尿感が残るのが溢流性尿失禁の特徴です。

原因

溢流性尿失禁の根本的な原因は、尿が出にくくなる「排尿障害」であると言われています。様々な原因によって尿路(尿の通り道)が閉塞することで、尿の通過障害が発生します。前立腺と呼ばれる組織が肥大化する前立腺肥大症を合併している場合、大きくなった前立腺が尿路を圧迫してしまい、尿の通過障害が発生します。また、尿路結石や尿路感染症による炎症なども尿路を防ぐ原因をなります。それだけではなく、排尿時に必要な筋力が低下したり、スムーズに排尿するための神経系に障害が起こることで排尿障害が発生します。このように、排尿障害が発生する原因は多様ですが、その排尿障害によって思うように排尿できなくなるというのが溢流性尿失禁の原因です。

症状

溢流性尿失禁の症状としては、排尿時に上手く排尿できない、残尿感がある、排尿に時間がかかる、尿の回数が増える、1回の尿量が少ないなどの一般的な排尿障害の症状に加え、「自分の意思とは無関係にダラダラと続いてしまう尿もれ」が代表的です。排尿障害によって溜まった尿が溢れ出ている状態であるため、自分で尿意をコントロールすることが難しくなります。また、膀胱内に尿がたまり続けている状態になるため、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を合併するリスクが高くなります。

検査・診断

溢流性尿失禁の検査においても問診が非常に重要です。毎日の尿のリズムを把握するために排尿の記録「排尿日誌」を患者さん自身に作成してもらいます。尿検査によって尿の状態を調べるとともに、超音波検査(エコー検査)などの画像検査を行って診断します。また、padテスト(腹圧性尿失禁というタイプの尿失禁のための検査)と呼ばれる尿失禁のテストが実施されることがあります。これは、水分摂取後に、60分間決められた動作や運動を行い、検査前後のパッド重量を計測し、尿失禁の重症度を判定するという検査法です。尿路結石や前立腺肥大症、前立腺がんなど、排尿障害の原因となる疾患を特定するためには、必要に応じてMRI検査やCT検査、膀胱内視鏡などの検査を行います。

治療

排尿障害や尿路閉塞の原因が明らかな場合、その原因を取り除く治療が優先されます。前立腺肥大症が存在する場合、薬物療法や手術などを組み合わせて、前立腺を小さくする治療が実施されます。尿路結石が認められる場合には、尿路結石に対する治療を行います。また、他疾患の治療に用いられる薬剤の副作用によって排尿障害が発生している可能性も考えられるため、必要に応じて内服中の薬剤を見直すことも大切です。どうしても排尿が上手くできない場合、カテーテルと呼ばれる管を尿管に挿入して排尿する「導尿」と呼ばれる処置が行われることがあります。導尿は医師や看護師だけではなく、自分自身(自宅)でも可能な治療法ですが、しっかりと専門家の指導を受けで実施する必要があります。

予防/治療後の注意

排尿障害の原因となる病気を予防することが、溢流性尿失禁の予防に直結します。尿失禁はは他人に相談しにくい疾患のひとつということもあり、発見が遅れやすいという問題点もあります。早期に治療を開始することができれば、症状が軽い段階で進行を予防することも可能です。自分自身で判断せず、早めに専門家に相談することが大切です。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団 セントメリー 飯田橋中村クリニック

中村 剛 院長

【経歴】
昭和62年 千葉大学医学部卒業
千葉大学医学部付属病院、東京厚生年金病院、社会保険船橋中央病院、松戸市立病院、東京厚生年金病院泌尿器科医長、部長を経て現在に至る。

【資格】
医学博士
1992年 日本泌尿器科学会専門医取得
1997年 日本泌尿器科学会指導医取得
東京都身体障害者福祉法指定医(じん臓機能障害、膀胱又は直腸機能障害)

治療に適した診療科目

内科 泌尿器科

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