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最終更新日:2022年3月18日

にゅうせんえん乳腺炎

こちらの記事の監修医師
丸茂レディースクリニック
丸茂元三 院長

概要

乳汁を産生し分泌する働きを持つ組織が乳腺です。そして、何らかの原因によって乳腺に炎症が発生する疾患が乳腺炎です。乳腺炎には急性乳腺炎と慢性乳腺炎という2種類があり、急性乳腺炎には、乳汁うっ滞性乳腺炎と、細菌感染を伴う化膿性乳腺炎があります。産後や授乳中におこる一般的な乳腺炎の多くは、乳汁うっ滞性乳腺炎のことをいいます。急性化膿性乳腺炎の場合、乳房が赤くはれて痛みを伴ったり、高熱を引き起こすこともあります。慢性乳腺炎は乳腺の炎症が長期間に及ぶことで、乳腺にしこりが形成されることもあります。その他にも、乳頭から細菌が入リこむことで炎症が起こる乳輪下膿瘍などがあります。

原因

乳腺炎の原因の多くは授乳に伴って生じる授乳感染症が原因です。母乳の通り道である乳管が十分に開いていない、乳児が十分に母乳を飲めていない(飲む力が弱い)、授乳の間隔が長い、など、様々な原因によって乳管内に母乳が蓄積して炎症が生じることで、乳汁うっ滞性乳腺炎を発症します。さらに、乳頭から細菌が入り込んで感染症を引き起こすことで、化膿性乳腺炎を合併します。化膿性乳腺炎の原因菌としては、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などのグラム陽性菌が一般的です。産後6週間以内であったり、初産である場合などに乳腺炎発症のリスクが高くなることが知られています。

症状

乳汁うっ滞性乳腺炎の場合、初期症状としては、しこりや腫れ、熱感、赤みなどの症状がみられます。比較的症状が軽い段階で、マッサージや搾乳によって母乳が乳管内に溜まらないようにすることで、症状の改善は可能です。対処が遅れたり症状を放置したままにすると、細菌感染などを引き起こし、乳房に痛みや強い熱感などが出現するようになり、さらに重症化すると、発熱や関節痛などの全身症状を合併する場合もあります。産後の体力が低下していてストレスが強い時期に感染症を引き起こすことで、細菌が血流に入り込む菌血症を合併する可能性もあります。重篤な全身症状が出現する可能性もあるため、症状が軽いうちに適切な治療を開始することが重要です。

検査・診断

多くの場合、産後の授乳期に乳腺炎を生じるため、問診や触診、乳房の観察によって診断は可能です。感染症の状態や症状の強さによっては、血液検査や超音波検査、マンモグラフィなどの検査が行われることもあります。膿の分泌など明らかな感染が確認される場合、浸出液を培養することで、原因となった細菌を同定することも可能です。慢性乳腺炎などの場合、しこりが認められることも多く、乳がんとの鑑別のため、より詳細な検査が必要になる可能性もあります。

治療

化膿性乳腺炎など、感染が確認される乳腺炎の治療の基本は抗菌薬(抗生物質)の内服です。痛みや炎症、腫れなどが強い場合には消炎鎮痛薬などを使用することもあります。38度を超える発熱症状を伴うことも多く、必要に応じて解熱剤などを追加します。より症状が重篤な場合には、病変部の皮膚を切開して内部の膿を排出するドレナージなどの処置が必要になることもあります。しかし、比較的症状が軽い「乳汁うっ滞性乳腺炎」の段階で、マッサージなどの適切な処置を行うことで、症状の進行を予防することも可能です。乳房にハリやしこりを感じた段階で治療を開始することが重要であり、医師や助産師からマッサージ方法や搾乳方法などの指導を受けておくことが大切です。

予防/治療後の注意

バランスの良い食事と十分な休息でストレスを溜めないこと、乳房を温めながらゆっくりと乳房のマッサージをすること、積極的に授乳をすること、定期的に搾乳をすることなど、乳房の中に必要以上に乳汁が溜まらないように心がけることが重要です。しこりや乳房のハリを感じた段階で適切に対応を行うことで、炎症や痛み、感染症の発症を予防することも可能です。炎症や熱感、痛みなどを感じた場合には、無理をせず、早めに主治医を受診しましょう。

こちらの記事の監修医師

丸茂レディースクリニック

丸茂元三 院長

《経歴》
1991年3月 旭川医科大学医学部 卒業
1991年6月 東京大学医学部附属病院産婦人科
2003年5月 板橋中央総合病院産婦人科
2004年4月 板橋中央総合病院産婦人科 医長
2013年9月 丸茂レディースクリニック 開設

《資格》
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本超音波医学会 超音波専門医
FMF認定超音波医
母体保護法指定医

《所属学会》
日本産科婦人科学会
日本超音波医学会

治療に適した診療科目

内科 外科 乳腺外科 産婦人科 婦人科

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