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最終更新日:2022年3月8日

しきゅうけいがん子宮頸がん

こちらの記事の監修医師
麻布モンテアールレディースクリニック
山中 智哉

概要

子宮頸がんとは、子宮頸部にできる癌で、その原因としてヒトパピローマウィルス(HPV)の関与が分かっています。子宮がん検診によって、早期発見が期待できる癌ですが、時に進行した状態で見つかることもあります。好発年齢は30~40代ですが、最近では20代といった若年層の発症が増えているという報告があります。

原因

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が、子宮頸がんの発症原因となることが明らかになっています。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉時の接触によって子宮頸部に感染します。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交経験のある女性であれば、一生のうちに一度は感染したことがあると言われるほど、ありふれているウイルスです。ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、9割の人たちは免疫力で体内から排除できますが、残りの1割の人たちは、長期間体内に持ち続けます。そのため、子宮頸部の異形成という前がん状態を経て、数年以上かけて「がん化」していきます。

症状

初期症状としては、不正出血や帯下の増量を認めます。癌が進行し、骨盤へ浸潤していくと痛みの症状が現れ、子宮周辺の臓器である直腸や膀胱に浸潤すると血便や血尿が認められるようになります。さらに骨や肺、肝臓などに遠隔転移することもあり、転移部位に応じた症状を呈します。

検査・診断

子宮頸がん検診では、子宮頸部をブラシや綿棒などで子宮頸部の細胞をこすり取り、その細胞を顕微鏡で調べます(細胞診)。細胞診で異常が見つかった場合、精査のため、コルポスコープという子宮頸部拡大鏡で病変部位を確認しながら、組織片を採取します(生検)。この生検された組織を顕微鏡で調べることで、診断は確定されます(組織診)。病気がそれほど進行していない状態では、子宮頸がん以外に、その前がん病変である子宮頸部異形成や上皮内癌の診断もなされます。組織診では一部の組織しか検査していないため、高度異形成や上皮内癌の診断がでた場合は、円錐切除という子宮頸部を円錐状に切除する手術を行ない、病変部位を切除するとともに、全周性に上皮内癌以上の病変が含まれていないかを検査します。子宮頸がんと診断された場合は、MRI検査やCT検査が行なわれます。MRIでは主に子宮周囲への浸潤や転移、CTでは骨盤腔より離れた遠隔転移の状態を調べることができます。

治療

子宮頸がんの治療法には、主に手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療があげられます。治療法は、癌の進行度によって選択されます。手術を行なっても、癌の残存や遠隔転移が疑われる場合には、術後に化学療法や放射線治療が必要となることもあります。また、手術による侵襲を軽減するために、先に化学療法や放射線療法によって癌を縮小してから手術を行なう方法など、治療後の体への影響も考えた方法も提案されています。妊娠を希望されている女性の場合、子宮を残した治療を行なうことができるかどうか、大変難しい選択が迫られることになります。

予防/治療後の注意

子宮頸がんの発症原因にヒトパピローマウィルス(HPV)が関与していることが明らかになってから、子宮頸がんはそれに対するワクチンで予防できる癌といわれるようになりました。また、定期的な子宮がん検診によって、進行する前に早期発見できれば、子宮を残した状態で根治できる可能性があります。子宮頸がんの手術で、子宮を摘出した場合、骨盤内の神経の切断により膀胱や直腸などの機能に影響がでることがあります。その場合、膀胱訓練などによって少しずつ機能回復に努めたり、術後の癒着による腸閉塞のリスクに対して、消化のよい食べ物から開始する必要があります。化学療法や放射線治療には、免疫力が下がったり、髪の毛が抜けたりといった副作用があります。子宮頸がんの手術ではほとんどの場合卵巣も摘出することになり、また化学療法や放射線治療でも、卵巣機能は低下します。したがって、これらの治療の後には、女性ホルモンが低下したことによる更年期様症状や、骨粗しょう症などにも注意が必要です。いったん完治したように見えても、子宮頸がんには再発のリスクがあります。術前の進行度にもよりますが、術後も定期的に腟断端部の細胞診や、CT,MRI、腫瘍マーカーといった検査によって、再発の有無を確認しながら経過をみていくことになります。

こちらの記事の監修医師

麻布モンテアールレディースクリニック

山中 智哉

【経歴】
1998年 山梨大学医学部 卒業
2002年 同大学医学部大学院 卒業
2019年 麻布モンテアールレディースクリニック 開院

[資格]
・医学博士
・日本産科婦人科学会専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・米国ISFN認定サプリメントアドバイザー
・点滴療法研究会認定医

[所属学会]
・日本産科婦人科学会
・日本生殖医学会
・日本卵子学会

治療に適した診療科目

産婦人科 婦人科

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