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最終更新日:2022年3月8日

ばせどうびょうバセドウ病

こちらの記事の監修医師
もり脳神経外科クリニック
森 達郎

概要

バセドウ病は、体の中にできた自己抗体により甲状腺が刺激されることで、甲状腺ホルモンが過剰に産生されてしまい、甲状腺ホルモンの過剰産生に伴って様々な症状が発現する病気です。甲状腺ホルモンは全身の臓器に作用する大切な働きを持つホルモンであるため、甲状腺ホルモンの異常によって全身に症状が発現します。主な症状として、動悸や息切れ、手足の震え、疲れやすさやだるさなどの他、軟便や下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きのなさ、生理不順などの症状が出現します。また、目を見開いたように眼(眼球)が前方に飛び出してくる眼球突出はバセドウ病の代表的な症状です。バセドウ病は、特に20歳代から40歳代にかけて多くみられ、女性の罹患率が男性より3~5倍多いと言われています。

原因

甲状腺には、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの刺激を受け取る受容体が存在します。甲状腺刺激ホルモンがこの受容体のスイッチを入れることで、甲状腺から甲状腺ホルモンが分泌されるというメカニズムです。正常な場合、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、下垂体からの甲状腺「刺激」ホルモンの分泌が抑えられます。つまり、甲状腺を刺激するホルモンの調節が正常に行われることで、甲状腺ホルモンの分泌もコントロールすることが可能ということです。しかし、バセドウ病患者さんの場合、“偽物”の甲状腺刺激ホルモンが作られてしまい、これが甲状腺に存在する受容体を刺激し続けてしまいます。そのため、甲状腺から甲状腺ホルモンの過剰産生が発現します。なぜ偽物の甲状腺刺激ホルモン(TSH受容体抗体)が出現するのかということは分かっていません。

症状

甲状腺機能異常が発現することで、全身にさまざまな症状が現れます。新陳代謝が活発になり、動悸、多汗、体重減少、疲労感、手の震え、息切れなどの症状が発現します。異常に暑がりになったり、精神的にもイライラとして落ち着きのない状態が目立つようになります。しばしば興奮状態もみられ、不眠状態になったり、些細なことでもカーッとなって“のぼせ”のような症状が出現することもあります。常に運動しているような状態になるため、体力を異常に消耗するようになります。体力の消費によって食欲が増えることが多いですが、それ以上にエネルギーを消費するため、食べても食べても太らないというケースも少なくありません。また、のどぼとけのすぐ下辺りに位置する甲状腺は全体的に大きく腫れ、目がとび出たり目が完全に閉じないなど、眼球突出と呼ばれる症状が出現することもあります。

検査・診断

問診にて、動悸や息切れ、疲れやすさなどの甲状腺機能亢進の症状を確認したら、触診で甲状腺の腫れも検査します。また、血液検査で甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン値と、バセドウ病の特徴であるTSH受容体抗体があるかどうかを検査することも重要です。超音波検査(エコー)を利用して、甲状腺の状態を確認します。心電図検査やレントゲン検査など、バセドウ病や甲状腺機能亢進状態に伴う各種症状に対する検査も必要に応じて行います。

治療

バセドウ病の治療は大きく3つに分けられ、抗甲状腺薬を使用する薬物治療、放射性ヨウ素内用療法、手術療法が主な治療法となります。甲状腺の機能を抑える薬である抗甲状腺薬を使用することで、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制し、バセドウ病の症状を緩和します。徐々に甲状腺ホルモン産出量も下がってきます。薬物療法を開始して2週間後ほどが経過すると、少しずつ症状が軽快し、数ヶ月で症状はかなり改善します。しかし、内服薬での治療は最低でも2年ほどかかります。甲状腺の機能がきちんと保たれるようになれば薬を中止できることもありますが、再発も多く、薬を中止すると症状が再燃するケースも少なくありません。放射性ヨウ素内用療法は、放射性ヨウ素のカプセルを摂取することで甲状腺の細胞を減らす治療法であり、手術療法は手術によって甲状腺を外科的に摘出する治療法です。

予防/治療後の注意

バセドウ病を未治療のまま放置してしまうと、長期的には心房細動や心不全などが生じるリスクが高くなるため、適切な治療を行うことが重要です。治療開始によって症状が落ち着くケースが多いですが、甲状腺そのものの状態が改善しているわけではないので、長期的に治療を継続する必要があります。治療終了後も定期検診を受けるなど、再発予防に努めることが大切です。

こちらの記事の監修医師

もり脳神経外科クリニック

森 達郎

〇アクセス:品川区中延5丁目2番2号 ザ・パークハウス品川荏原町2階
〇診療科 :脳神経外科・内科・皮膚科・放射線科・小児科
〇経歴:
平成5年 日本大学医学部卒
平成11年 日本大学大学院卒
平成11年 米国 ハーバード大学医学部 マサチューセッツ総合病院 神経科
平成14年 横須賀市民病院 脳神経外科医長
平成16年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科医長
平成20年 日本大学講師
平成21年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科科長
平成22年 日本大学駿河台病院 脳神経外科科長
平成23年 社会保険横浜中央病院 脳神経外科部長
平成26年 地域医療推進機構 横浜中央病院 脳神経外科主任部長
平成28年4月 もり脳神経外科クリニック開設
【資格・免許】
日本脳神経外科学会評議員 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会会員 脳卒中専門医
日本神経外傷学会学術評議員
日本臨床スポーツ医学会評議員
日本脊髄外科学会会員 脊髄外科認定医
日本脳ドック学会会員
難病指定医 身体障害者福祉法第15条指定医
脳神経外科漢方医学会会員
日本認知症学会会員
介護支援専門員(ケアマネージャー)
日本老年医学会高齢者医療研修会終了

治療に適した診療科目

内科 内分泌内科 外科

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