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最終更新日:2022年3月31日

げんぱつふめいがん原発不明がん

こちらの記事の監修医師
産業医科大学
佐藤 典宏(さとう のりひろ)

概要

原発不明がん(げんぱつふめいがん)とは、がんが最初に発生した臓器を特定できないがんのことをいいます。がんには、原発巣とよばれるがんが発生した臓器が存在します。がんが進行すると、原発巣から他の臓器に転移することで全身にがん細胞が広がっていきます。例えば、最初に大腸で発生したがんでも、進行すると肝臓や肺などにも転移したがんが確認されることがあります。この場合の原発巣は大腸となりますので、たとえ肝臓や肺に転移がある場合でも、大腸がんに対する治療法が選択されます。しかし、原発不明がんの場合には、原発巣が特定できないため、治療が難しくなります。発生頻度は固形がん全体の1−5%だといわれており、希少ながんであるといえます。

原因

原発不明がんの原因は、他のがん(固形がん)と同じと考えられています。がんは、遺伝子に異常が生じることで、無秩序に増殖を繰り返す異常な細胞が生成されることから始まります。通常、このような異常な細胞が出現した場合であっても、自分の免疫の監視システムによって発見されて排除されます。ところが、免疫の監視システムをすり抜けたがん細胞が増殖すると、がん(かたまり)になります。がんは最初に発生した部位によって、大腸がんや肺がんなどと診断されます。ところが、複数の臓器にがんが存在する場合、原発巣の特定が難しいことがあります。また、転移したがんだけが発見され、原発巣のがんが小さくて画像検査で検出できないこともあり、この場合も原発不明がんと診断されます。

症状

原発不明がんの症状は多種多様で、転移したがんが存在する臓器によって違います。臓器によっては、がんが大きくなるまでは症状が出現しにくいということもあり、発見時には病状が進行してしまっているということも少なくありません。

検査・診断

一般的には、問診、血液検査、尿検査、超音波検査、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)、CTやMRI検査などが行われます。また、がんの全身への広がりを確認するために、PET-CT検査が行われることもあります。可能であれば、転移したがんの部位から細胞や組織を採取して顕微鏡で観察することで、がん細胞のタイプや遺伝子異常がわかります。

治療

原発不明がんに対しては、通常は外科的切除が適応となることはありません。化学療法(抗癌剤治療)や放射線治療などで、がんの進行を抑えて症状を緩和する治療が実施されます。原発不明がんのなかには、特定の治療法が推奨される場合があります。例えば、「腺癌、女性、腋窩リンパ節転移のみ」といった条件に当てはまる場合、腋窩リンパ節転移陽性乳癌に対する治療が行われます。また、原発不明がんには遺伝子パネル検査が保険適応となっており、特定の遺伝子異常が確認された場合には、その遺伝子をターゲットとした分子標的薬などによる治療が行われます。また、2021年12月に免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボが原発不明がんに対して適応となりました。標準治療が確立できていなかった原発不明がんで治療法の選択肢ができたことに加え、承認が世界に先駆けて行われたことも注目されています。

予防・早期発見

原発不明がんは、診断時には進行して全身に広がっていることが多く、また、確立された標準治療がないことより、一般的には予後不良です。したがって、他のがんと同様に、がんを予防する生活習慣や、がんを早期に発見するための定期的な検査がとても重要です。ただ、対策型検診(自治体のがん検診)だけではカバーできない臓器もありますので、気になるかたは、任意型検診(人間ドックやがんドック)も利用するといいでしょう。

こちらの記事の監修医師

産業医科大学

佐藤 典宏(さとう のりひろ)

産業医科大学 第1外科 講師

【経歴】
1993年 九州大学医学部卒
2001年 米国ジョンズホプキンス大学医学部に留学
2012年より 産業医科大学第1外科

外科医であると同時に、YouTube「がん情報チャンネル」、ブログ「がんをあきらめない人の情報ブログ」、ツイッターなどで、がんの情報を発信。著書に『ガンとわかったら読む本』、『がんにならないシンプルな習慣』、『がんに負けないたった3つの筋トレ』など
【資格】
日本外科学会指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医

治療に適した診療科目

内科 婦人科 小児科

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